防衛省は2016年8月3日、北朝鮮が7時53分頃、南西部の黄海南道(ファンヘナムド)付近から日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射したとみられると発表した。ミサイルは朝鮮半島上空を通過し、秋田県男鹿半島沖の西約250キロメートルの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられる、としている。ミサイルの弾頭部が日本のEEZ内に落下するのは初めて。
従来、韓国への最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備決定に反発する形で北朝鮮がミサイル発射を繰り返してきたと分析されてきたが、今回の発射では、在日米軍への攻撃能力を誇示することが目的だとの見方も出始めている。
最大飛行距離近くまで飛行させた狙いは?
韓国の聯合ニュースによると、今回発射されたミサイルは中距離型の「ノドン」だとみられ、1000キロ程度飛行した模様だ。北朝鮮は7月19日にも、短距離ミサイル「スカッド」2発と中距離ミサイル「ノドン」1発を発射したばかりだが、500~600キロ程度の飛行にとどまったと推定されている。
ノドンの最大飛行距離は1300キロ程度。聯合ニュースは、今回のミサイルが1000キロも飛行したとみられることについて、韓国当局の
「今回は最大距離近くまで飛行させ、在日米軍基地などへの攻撃能力を誇示した」
という見方を伝えている。
聯合ニュースが7月27日に韓国国防部の話として伝えたところによると、11年の金正恩体制発足以降、北朝鮮はスカッド(射程300~1000キロ)16発、ノドン(同1300キロ)6発、ムスダン(同3500~4000キロ)6発、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)3発を発射。
弾道ミサイルだけで31発を発射した計算で、今回が32発目だ。