ヨーグルトをよく食べる女性は、うつ病になりにくいという研究がまとまり、スペイン・ナバラ大学のチームが、栄養学誌「Journal of Nutrition」(電子版)の2016年7月27日号に発表した。
最近、うつ病の発症には腸内細菌の状態が関係しているという研究が相次いでおり、うつ病の改善には乳酸菌を含むヨーグルトが効果をあげるのではないかといわれるが、実際に研究で確かめたのは初めてという。
週0.5食以下と7食以上を比べると
研究チームは、うつ病の発症とヨーグルトを食べる習慣との関連を分析するため、うつ病ではない健康な男女1万4539人(平均年齢37歳)を10年間追跡調査した。調査開始時点と10年後に詳細なアンケートで食生活を尋ね、またうつ病の発症状況も調べた。10年後の時点で、調査期間中に医師からうつ病と診断されたことがある人が727人(5.0%)いた。
ヨーグルトの摂取量を、1週間に0.5食以下から7食以上とる人まで4つのグループに分けて比較した(1食は125グラム)。その結果、最も多くヨーグルトを食べる「週に7食以上」の人は、「0.5食以下」の人に比べ、うつ病を発症するリスクは22%減った。男女別に比較すると、男性の場合は、うつ病の発症者が少ないこともあり、統計学的に有意ではなかった。女性にだけ「ヨーグルト効果」が確認され、34%も発症リスクが減った。
「幸せホルモン」は腸内細菌が作っていた
しかし、研究チームは、なぜヨーグルトを多く食べるとうつ病が減るのか、因果関係を明らかにしていない。
近年、腸内環境の悪化がうつ病を引き起こす原因の1つという研究が相次いで発表されている。うつ病の原因にセロトニン不足があげられる。セロトニンは喜びや快楽を感じると脳から分泌され、「幸せホルモン」と呼ばれるが、実は脳内に2%、腸内に90%の割合で存在することがわかってきた。腸内細菌がセロトニンを製造し、脳に送り届けているのだ。マウスの実験で腸内細菌をなくすと、セロトニンが脳に送られなくなり、狂暴化することが確認された。
脳内にある、たった数パーセントのセロトニンが人間の精神状態を大きく支配しているわけだ。ストレスがたまると、腸内に悪玉菌が増えセロトニンが製造されなくなる。逆に乳酸菌などの善玉菌を増やすと、セロトニンの製造量が増える。ヨーグルトには乳酸菌が豊富に含まれているのだ。