東京都知事選で初当選した小池百合子氏(64)が2016年8月2日、初登庁し知事として初めての記者会見に臨んだ。都知事選の出馬会見では都議会の「冒頭解散」を掲げていたが、会見では一転。本音はともかく、知事と都議会の「車の両輪で進めていきたい」と、協力関係を強調した。
議会と同様に焦点になりそうなのが自民党との関係だ。現時点では小池氏は自分から離党する考えはないとしているが、おおさか維新の会が小池氏に秋波を送っているとの見方もある。17年夏の都議選で小池氏と議会とのパワーバランスが変化する可能性もあり、維新の動向に注目が集まりそうだ。
現時点では離党も新党立ち上げも否定
小池氏は会見に先立って、議会の各派にあいさつに回った。会見では、その時の様子について、
「最初に議長、副議長の所をまわり、その後、小池さんが戻ってくるとき、『握手、いやそうな顔してたね』ということがボソッと聞こえてきた。どのような思いだったのか」
という質問が出た。議会との対立関係を浮き彫りにするようなエピソードだとも言えるが、小池氏は
「いやあ、何を申したかはアレですけど、これまで、選挙期間中に色々と発言もあって、不愉快な思いをされた方もおられると思うが、しかし、都議会は車の両輪。行政を代表する知事と、都民の代表であられる都議会と、これから車の両輪で進めていきたい」
などとかわしながら、議会との協調関係をアピールした。
「議会との対立」は「自民党との対決」でもある。小池氏は、7月31日にTOKYO MXで放送された開票特番でキャスターから
「自民党を辞めて小池新党をつくる判断はないのか」
と聞かれ、
「現時点ではその考えはない。これから議会において、色々な議員と接することになる。私自身も存じ上げていることだが、自民党の中にも本当に改革派を目指している議員の方々が沢山おられる」
などとして離党や新党の立ち上げを否定。
「自分から離党する考えはなのか」
と念を押されたが、小池氏は
「これについては(自民党側の)結論を待ちたいと思う。判断の材料を預けているところ」
と述べるにとどめている。しかし、「小池新党」の噂は消えず、都知事選後に発売されたアサヒ芸能(8月11日特大号)では、「小池百合子・橋下徹『合体』日本支配計画!」と題した記事も掲載された。
小池氏にとって節目になりそうなのが、17年夏の都議会選だ。この結果によって小池氏と議会とのパワーバランスが大きく変化するからだ。その都議選が近づくにつれて存在感が増しそうなのが、おおさか維新の会だ。産経新聞が8月1日に「おおさか維新 光る第三極」と題した記事によると、馬場伸幸幹事長が
「小池氏が都の大改革を行う姿勢が本物なら、来年の都議選は改革勢力を大きくする方向で協力したい」
と述べ、小池氏と共闘する考えを示している。
橋下氏は小池氏の対立候補を攻撃して「援護射撃」
すでに政界引退を表明している橋下徹・前共同代表(前大阪市長)も、ツイッターで都知事選について積極的に発言してきた。例えば、石原慎太郎元知事(83)が増田寛也氏(64)の決起集会で
「増田さんは同じ場所に居たんだから、石原さんと大喧嘩して発言を取り消させ謝罪させれば、大きく流れが変わったのに。最大のチャンスを逃した。あの発言くらい取り消させることができなければ大改革などできない」
などと増田氏を攻撃。鳥越俊太郎氏(76)には、さらに辛辣だ。伊豆大島で「消費税5%」を掲げた演説には
「こんな演説を許していたらもう選挙は成り立たない。言った者勝ちになる。民進党は鳥越さんの公約を実現する覚悟があるのか。その覚悟がなければ、鳥越さんにドクターストップをかけるべきだ」
などと激しく非難をぶつけ、週刊文春に過去の「『淫行』疑惑」を指摘され、直後に刑事告訴したことについても
「あれだけ報道の自由を叫んでいたのに自分のことになったらちょっとケツの穴が小さくないか?」
とこき下ろした。小池氏の対立候補を攻撃することで、結果的に小池氏への援護射撃をした形だ。
都知事選投票日前日の7月30日には、橋下徹氏、松井一郎代表、馬場伸幸氏の3人が安倍晋三首相、菅義偉官房長官と会食している。菅氏は増田氏の応援に入ったものの、安倍首相はビデオメッセージを出しただけで増田氏の応援演説に立たなかったことが、波紋を広げている。この会食で、今後の小池氏との向き合い方についても話題になった可能性がありそうだ。