セックスの回数は多ければ多いほどよい、というものではないようだ。週1回、密度の濃いセックスを行なうとカップルの幸福度は最高潮に達する、そしてその喜びは収入が増えることより大きな幸せを2人にもたらす――。週1回なら何となりそうと思った人も多いのでは。
こんなうれしい研究をカナダ・トロント大学のチームがまとめ、心理学誌「ソーシャル・サイコロジカル・パーソナリティ・サイエンス」(電子版)の2015年11月18日号に発表した。
アイスクリームは1本で十分美味しい
この研究は、米国で行なわれた総計3万人以上の男女の性生活と幸福に関する3つの研究を総合した。1つめの研究は、2万5510人の異性愛の男女(男性1万1285人・女性1万4225人)を対象に、セックスの頻度と自分に対する幸福感を尋ねたアンケート調査だ。その結果、セックスレスよりは月1回、さらに月2回より月3回と、セックスの回数が増えれば増えるほど幸福度は高くなるが、週1回をピークにそれ以上頻度が増えても横ばいになった。つまり、週1回も週4回も幸福度は変わらないのだ。
なぜ、週1回と週4回が同じ「幸福度」なのだろうか。研究チームのエイミー・ミューズ博士は面白いたとえ話でこう説明している。
「アイスクリームを思い浮かべてください。1本食べれば十分満足します。もちろん4本食べればもっと美味しいですが、カロリーオーバーやお腹を壊すといった、別の心配ごとが出てきます。セックスも同じです。週1回、十分に満足できる内容で定期的に行なうことがカップルの幸福感を高めるのです」
年収が倍になるよりセックスが増える方が...
さらにミューズ博士らは、2つめの研究からお金とセックスとどちらが強く幸福に結びつくかを分析した。異性愛の男女335人(男性138人・女性197人)を対象に、年収とセックス頻度の関連を調べた調査だ。その結果、年収が1万5000~2万5000ドル(約160~265万円)の低収入の人と、5万~7万5000ドル(約530~795万円)の高収入の人との幸福感を比べると、両者が感じている幸福度の差は、セックスが月1回未満の人と週1回の人の幸福度の差より小さかった。つまり、年収を上げるよりも、週に1回パートナーとセックスする方が幸福度は上がりやすいわけだ。
カップル間の絆では、「週1回」のセックスが収入より重要なことは、3つめの研究である約200組の異性愛カップルを14年間追跡した調査でも裏付けられた。ともあれ、愛には「シュウイチ」が重要なのである。ミューズ博士は「平均的なカップルが親密な関係を維持し、アクティブな性生活があると感じやすくなる、ちょうどよい頻度が週1回なのではないでしょうか」と語っている。