聴覚障害者が居酒屋の予約を断られた ろうあ団体抗議に「店が悪いとは思えない」の声が

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   JR尼崎市駅近くにある居酒屋に予約を入れようとしたところ、聴覚障害がある、という理由で断られ、ろうあ協会が抗議した、というニュースが報じられた。

   注文する際の筆談も「対応不可」という居酒屋の対応に、ろうあ協会関係者は「筆談すらできないとなれば何処にも行けない!」と抗議したところ、店側が謝罪することになった。しかし、ネットでは「店が悪いとは思えない」などと、ろうあ協会などを批判する意見が出る事態になっている。

  • 居酒屋に行ったら断られ…
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居酒屋のチェーン店本社は「謝罪」

   京都新聞の電子版(2016年7月30日)によると、尼崎市で開かれた近畿ろうあ者体育大会の卓球競技に出場する滋賀県の7人の選手が16年5月21日夜に居酒屋を予約しようと5月9日にファクスで申し込んだところ、店長から、

「当店は手話のできるスタッフはいなく、筆談での対応もしておりません」「通訳のできる方がおられない場合、ご予約をお取りすることができません」

というファクスが届いた。選手から相談を受けた滋賀県ろうあ協会の理事らが確認のため同店を訪問すると、店長は謝罪するとともに、聴覚障害者が来店された経験はなく、しかも制限時間の90分では筆談での食事の提供は厳しい、と理由を述べ、

「どう接したらいいか分からず、失礼にあたるのでお断りした」

と説明したという。

   今回問題となったチェーン店の本社広報に話をJ-CASTニュースが聞いたところ、同社では障害者差別解消法の制定以前よりこうした問題については注意を払っていて、個別に協議のうえ可能な限り対応をしてきた、と説明した。そして、今回の店舗の対応は会社の方針に反したものであり、

「本件を教訓とさせていただき、今回のような対応が繰り返されないよう各店舗の責任者をはじめとする従業員に対し、障害者のお客様に対する弊社の対応方針を、障害者差別解消法の内容を踏まえ、教育・周知徹底に務めてまいります」

と謝罪した。

聴覚障害者センター「とても悲しい事です」

   ところが、こうしたことが報じられると、ネット上では、店側の擁護と、ろうあ協会に対する批判が多く寄せられるようになった。ネットの掲示板には、

「お店は『ボランティア』じゃ無いから、流石に客を選ぶ権利は有るでしょう。しかも今回は自前に対応出来ない旨を知らせてる」
「障害がある方への最大限の『配慮』は必要だが、コレが行き過ぎた『特別扱い』を求めるような事になるから差別を生む。団体も抗議のしかた考えたほうがいいよ」
「障害者差別をなくそうと主張するのはいいけど、相手の都合を無視して自分たちの権利を主張するのは、ただの傲慢だって気づいた方がいいよ?」
「何かあればすぐに差別と騒ぐ方が問題であり、結果的にどちらが差別されているか不明に感じることすらある」

などといった感想が出ている。

   障害者と飲食店を巡るトラブルでは13年5月に起きた乙武洋匡さん(40)が記憶に新しい。乙武さんが訪れた東京・銀座のイタリア料理店はエレベーターが止まらない雑居ビルの2階にあった。店員に下まで降りてきて連れていって欲しいと頼んだが、予約をしていなかったため「車いすなら事前に言っておくのが常識」「ほかのお客様の迷惑になる」「忙しいから無理」などと言われ入店を拒否されたというもの。

   この時はネット上で料理店に対する批判が出ることになったものの、一方で、店の状況を理解していなかった乙武さんが悪い、とか、障害者だからという「特権意識」が鼻に付く、などといった乙武さんに対する批判が出た。そして乙武さんがツイッターで店の名前を書いたため「営業妨害だろ!」などと「炎上」状態になった。

   ろうあ協会を支援している滋賀県立聴覚障害者センターの担当者にJ-CASTニュースが16年8月1日に取材したところ、京都新聞に書かれていることはほぼ間違いない、としたうえで、ろうあ協会を批判する意見がネット上に多く出ていることも知っていて、予想できなかった状況であり「とても悲しい事です」とした。

「筆談さえできないと断られるなら障害者はどこへも行けない、ということです。障害者の地位を高めるため、差別をなるべく無くすために我々は頑張っているのに・・・」

と落胆していた。

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