聴覚障害者センター「とても悲しい事です」
ところが、こうしたことが報じられると、ネット上では、店側の擁護と、ろうあ協会に対する批判が多く寄せられるようになった。ネットの掲示板には、
「お店は『ボランティア』じゃ無いから、流石に客を選ぶ権利は有るでしょう。しかも今回は自前に対応出来ない旨を知らせてる」
「障害がある方への最大限の『配慮』は必要だが、コレが行き過ぎた『特別扱い』を求めるような事になるから差別を生む。団体も抗議のしかた考えたほうがいいよ」
「障害者差別をなくそうと主張するのはいいけど、相手の都合を無視して自分たちの権利を主張するのは、ただの傲慢だって気づいた方がいいよ?」
「何かあればすぐに差別と騒ぐ方が問題であり、結果的にどちらが差別されているか不明に感じることすらある」
などといった感想が出ている。
障害者と飲食店を巡るトラブルでは13年5月に起きた乙武洋匡さん(40)が記憶に新しい。乙武さんが訪れた東京・銀座のイタリア料理店はエレベーターが止まらない雑居ビルの2階にあった。店員に下まで降りてきて連れていって欲しいと頼んだが、予約をしていなかったため「車いすなら事前に言っておくのが常識」「ほかのお客様の迷惑になる」「忙しいから無理」などと言われ入店を拒否されたというもの。
この時はネット上で料理店に対する批判が出ることになったものの、一方で、店の状況を理解していなかった乙武さんが悪い、とか、障害者だからという「特権意識」が鼻に付く、などといった乙武さんに対する批判が出た。そして乙武さんがツイッターで店の名前を書いたため「営業妨害だろ!」などと「炎上」状態になった。
ろうあ協会を支援している滋賀県立聴覚障害者センターの担当者にJ-CASTニュースが16年8月1日に取材したところ、京都新聞に書かれていることはほぼ間違いない、としたうえで、ろうあ協会を批判する意見がネット上に多く出ていることも知っていて、予想できなかった状況であり「とても悲しい事です」とした。
「筆談さえできないと断られるなら障害者はどこへも行けない、ということです。障害者の地位を高めるため、差別をなるべく無くすために我々は頑張っているのに・・・」
と落胆していた。