自覚症状がなく、見つかった時は手遅れ
その上、すい臓がんには特徴的な自覚症状がない。症状として腹痛、黄だん、腰や背中の痛み、食欲不振、体重減少が挙げられるが、胃炎やすい炎の場合も同じ症状になる。すい臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、よほどがんが進行しないと症状がでにくい。小さなすい臓がんの場合は、腹痛や黄だんなどの症状が出ないことが多く、発見時にはすでに手術ができない状態が多いのだ。
頼みの綱はがん検診による早期発見、早期診断だが、他のがんでもよく行なわれる腹部超音波(エコー)検査と血液検査では、すい臓がんの早期発見率が低いのが現状だ。「コンピューター断層撮影法」(CT)が比較的有効とされるが、撮影のために使用する「造影剤」には、重篤な副作用リスクがあり、気軽に何度も受けられるものではない。MRI(核磁気共鳴画像法)を利用した「MRCP」という検査が、早期発見にある程度有効とされている。
より高度な検査方法として「内視鏡的逆行性胆管膵管造影」(ERCP)や「超音波内視鏡」(EUS)があるが、実施している医療機関が少ないうえ、費用が高額だ。また、ERCPは稀に急性すい炎を引き起こす可能性があるため、「気になるからちょっと検査をしたい」という使い方がしにくい。
ジャーナリストの竹田圭吾さんの場合も、著書によると、ふだんから健康に気を使い、定期的に人間ドックを受けていたにもかかわらず検査の時は発見されず、その直後にすい臓がんと診断された時は、かなり進行した状態だった。