中国指導部も意見が割れている?
中国は協定通りの市場経済国認定を求めてWTOに提訴する構えを見せるとともに、「鉄鋼などの貿易問題は2国間・地域の対話で適切に解決したい」(李克強首相)というのが基本的な立場だ。
また、7月22日には、北京の釣魚台国賓館で李首相が主宰し、WTOのほか国際通貨基金(IMF)、世界銀行、経済協力開発機構(OECD)などのトップとの異例の座談会を開催。中国政府が過剰生産能力の削減などの「供給側(サプライサイド)改革」に取り組み、過去3年間で計1億5000万トン近い鉄鋼生産能力を削減したと語り、経済の体質強化への取り組みをPRした。さらに24日には日韓や欧州から輸入された一部特殊鋼板に報復の反ダンピング関税を課すと発表して揺さぶりをかけるなど、巻き返しに必死だ。
同じ24日、中国・成都で開かれていた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明は「過剰生産を含む構造問題が世界経済に負の影響を与えている」と、この間の国際会議と同じ表現を盛り込んだ。中国も問題解決の必要は認めたということだが、具体的な道筋が示されたわけではない。
「中国指導部内で、抜本的な構造改革と、目先の景気のどちらを優先するか、意見が割れている」(国際関係筋)との分析もあり、方向性がはっきり見通せない中、市場経済国認定問題も、12月に向け、まだまだ曲折がありそうだ。