ニコチンが「守護神」女性ホルモンを破壊する
同じ喫煙者なのに、女性の方が男性より発症率が高くなるのはなぜなのだろうか。今回の研究では、その因果関係を説明していないが、日本の国立がん研究センターが2004年に発表した調査でも、くも膜下出血を含む脳卒中全体で、男性喫煙者の発症率は非喫煙者に比べ1.3倍だったが、女性喫煙者は2.0倍に達していた。
専門医のウェブサイトによると、くも膜下出血はもともと女性に多い病気で、患者の7割は女性だ。高血圧と喫煙が主要な原因だが、ホルモンバランスの乱れやストレスも大きな原因になっており、女性が多い理由とみられる。このため、20代の女性でも発症する例が少なくない。女性患者の30%が40代以下で、更年期によってホルモンバランスが崩れる50代が60%を占める。
一方、女性ホルモンのエストロゲンにはくも膜下出血を防ぐ働きがある。ところが、タバコに含まれるニコチンには、このエストロゲンを分解する作用があり、ホルモンバランスを悪くするばかりか、ガード役まで破壊してしまい、二重にくも膜下出血になりやすくしてしまうのだ。