いきなりハンマーで殴られたような激痛に襲われ、突然死する恐ろしい病気のくも膜下出血。タバコによって発症リスクが増えるが、女性は男性よりはるかに高いリスクがあることがフィンランド・ヘルシンキ大学の研究でわかった。
くも膜下出血は、ほかの脳卒中の脳梗塞や脳出血が高齢者に多いのに比べ、20~40代の若い女性に多いのが特徴だ。今日からでもすぐに禁煙しよう。
「ハンマーの次はカミナリ」の激しい頭痛の末
脳の表面は、軟膜・くも膜・硬膜という3層構造の膜で覆われている。軟膜とくも膜の間に「くも膜下腔」という空洞部分があり、脳の血管が破れて、この空洞に出血した症状をくも膜下出血という。前兆の症状は一切なく、突然激しい頭痛が2段階で襲ってくる。第1撃は、「ハンマーで殴られた」と表現される、今までに経験したことがないような激痛に見舞われる。これが「警告頭痛」と呼ばれ、脳の血管にできたコブである動脈瘤が破裂した時の痛みだ。
しばらくすると痛みが収まり、放っておくと、第2撃に後頭部に雷が落ちたような激痛が走る。これが「雷鳴頭痛」と呼ばれ、動脈瘤の破裂で血管外に流れた血液が空洞全体に広がった時の痛みだ。患者の半数は命を落とし、4分の1の人に体の麻痺や記憶障害、言語障害などの後遺症が残る。障害がない状態で社会復帰できる人は4分の1といわれる。
ヘルシンキ大学の研究は、医学誌「ストローク」(電子版)の2016年7月21日号に発表された。研究チームは、フィンランドの男女6万5521人(平均年齢45歳)を最大44年間追跡し、くも膜下出血の発症と喫煙習慣の有無との関連について調べた。
その結果、男女ともタバコを吸う人は吸わない人より発症リスクは高く、男性で2.2倍、女性で3.4倍になった。タバコを吸う本数が多いほど発症リスクが高くなり、しかも、タバコの悪影響は女性の方が男性よりはるかに多く受けることがわかった。たとえば、1日に21~30本吸うヘビースモーカーの場合、男性では非喫煙者に比べ発症リスクは2.8倍なのに対し、女性では8.4倍にまで跳ね上がった。