金融庁が地銀へ「アメ」と「ムチ」 保険「窓販手数料」めぐる駆け引き

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再編を促進か

   そこに飛び込んできたのが、三菱東京UFJ銀行などの大手銀が自主的に公開に踏み切るというニュースだ。7月6日の金融審の審議開始のタイミングに合わせ、大手行が意向を非公式に明らかにし、各紙が一斉に報じたもので、金融庁の意向を反映した「情報発信」と見られている。

   大手銀が金融庁の要請を簡単に受け入れた真意は不明だが、はっきりしているのは、地銀との収益構造の違いだ。大手銀もマイナス金利の影響は受けるが、欧米や東南アジアといった海外にも展開し、収益を上げる体制にシフトしている。一国一城の主として地元に君臨してきた地銀は基本的に自らの営業エリア(通常は所在する県)で商売するしかなく、地域経済の疲弊と低金利のもと、本業の貸し出しによる収益が頭打ちになる中で、変額年金保険などの手数料が収益を一定程度支えている。それだけに、手数料引き下げを招きかねない公開に抵抗してきたわけだ。しかし、大手行が公開に踏み切れば、「地銀もいつまでも反対していられないだろう」(日銀関係者)とみられている。

   保険手数料に限らず、金融庁は地銀にさまざまな手法を駆使してプレッシャーをかけている。地銀の地域への貢献度を数値化して評価する新指標の策定を進めているのが「ムチ」。担保に依存せず、会社の将来性などをきちんと評価して融資するように促すものになる見込みだ。「アメ」としては、「9~15時」とされている銀行店舗の営業時間の規制を緩和し、地域の実情や顧客のニーズに合わせて柔軟に設定できるようにする。

   こうした圧力は、地銀の再編、具体的には常陽銀行(茨城県)と足利銀行(栃木県)の経営統合など県境を越えた再編を進めて経営力をアップさせたいというのが狙いとされる。「保険手数料公開によって地銀が結果的に収益源を侵食されることも、こうした金融庁が描く再編を促進することにつながる」(大手紙経済部デスク)との見方が強い。

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