民進党の岡田克也代表は2016年7月30日夕方、党本部で記者会見し、9月2日告示、9月15日に投開票される見通しの同党の代表選に出馬せず、任期満了で退任する意向を表明した。東京都知事選の投開票日を前日に控えての、事実上の辞意表明だ。
7月28日の定例会見では、態度表明の時期を「都知事選をやっている間は、あまり党内がガタガタしない方がいい」などとして都知事選後に明らかにする考えだったが、「選挙期間も終わるという中で、私の考え方を明らかにしておいた方がいいと考えた」と、方針転換した。
「一区切りつけて新しい人になっていただいた方が」
岡田氏は会見の中で、7月10日の参院選について
「どん底の状態から反転攻勢できる一歩を踏み出すことができた」
として、
「ここで一区切りつけて新しい人になっていただいた方が、党にとっても、政権交代可能な政治をつくるという意味でも、望ましいのではないか」
などと不出馬の理由を説明した。岡田氏は、
「都知事選と、私の今後の代表選挙の話は無関係」
と説明する一方で、都知事選については
「最後まで戦っていく」
と強調した。鳥越俊太郎氏(76)を野党統一候補として擁立した今回の都知事選では、「党が前面に出るべきではない」というのが岡田氏の持論だ。こういった点を踏まえても岡田氏は都知事選には距離を置き続けていた。
岡田氏が初めて鳥越氏と並ぶ形で応援演説に臨んだのは7月27日。7月14日の告示から2週間近く経っていた。この点について7月28日の定例会見で質されると、岡田氏は
「あえて一度も一緒にやることがないというのも、不自然だと思う。そういうことで別に私が望んだわけではないが、まぁ、周りでセットしていただいて、ああいうことになった」
と率直に話し、報道陣を驚かせた。
「古賀案」ひっくり返して鳥越氏擁立に動いた責任は
都知事選をめぐっては、元々民進党都連が元経済産業省官僚の古賀茂明氏(60)の擁立を決めていたが、岡田氏が主導する形で党本部が鳥越氏の擁立を進め、事実上都連の意向を「ひっくり返す」形になっていた。その揚げ句の「負け戦」となれば岡田氏の責任が問われるのは確実で、記者からは
「責任を取らない形で、今(不出馬を)表明したのではないかと勘繰ってしまう」
との指摘も出たが、岡田氏は
「それをゲスの勘繰りって言うんじゃないですか」
と反発。鳥越氏が他候補と「競い合っている」として「私の判断は間違っていなかったと思う」とした。その上で、
「基本的に代表が知事選挙の責任をとるというのは、私は違うと思っている。代表が責任をもつのは、参議院選挙と衆議院選挙だというのは、常に私が申し上げているところ」
だと主張した。
岡田氏は会見後、東京・新宿駅前で鳥越氏の応援演説に臨んだが、自らの進退に関係する発言はなかった。ただ、「レームダック党首」の応援がどの程度の意味があるかについては、さまざまな見方ができそうだ。