花を育てる高齢者はいきいき 認知症予防に「園芸療法」が注目

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軽い腕立て伏せや腹筋と同じ運動量

   浅野教授が金沢大医学部の教授らと行った、園芸療法に関する研究によると、脳梗塞で脳の一部にダメージを負った人が、花のにおいをかいだり花を見たりすると、機能の落ちていた脳細胞が活性化した。ほかにも、脳でダメージを受けた部分の代わりに別の脳細胞が活性化する現象もあった。スタジオのゲストたちも、驚きの表情だ。

早見優「(花の)においをかぐと、記憶の引き出しが開けられる」
勝俣州和「ウチもラベンダーがありますが、花があったらにおいをかぎに行きます」

   番組の「主治医」たちも、園芸療法を評価した。

秋津壽男医師「楽しいなという気分的な効果だけではなく、脳や心臓、骨、血管に良い効果が証明されています」

   植物に触れて香りを楽しみ、興味を持つと外出するようになるので、健康効果が望める。園芸では、草花をいじる際に指先を使った細かい作業が必要になるため、自然にリハビリになる。同じリハビリでも、毎日単調な運動メニューを繰り返すのは億劫になりがちだが、自分から植物を世話したいと考えれば自発的に体を動かすというわけだ。

   「実はガーデニングは、相当の運動量になります」と指摘したのは、金沢クリニック院長の森岡尚夫医師。軽い腕立て伏せや腹筋と同じ運動効果が得られる。つまり、10分間ガーデニングをすれば、腕立て伏せを10分間続けたときの運動量に匹敵する計算だ。同クリニックで、平均年齢64歳の糖尿病患者7人に2時間の園芸療法を2週間に1回、6か月実施したところ、空腹時血糖値やコレステロール値、中性脂肪に改善が見られたそうだ。

   自宅に広い庭やベランダがなくても、室内で鉢植えの花を育てるだけでも、十分に効果が期待できる。例えば、水をたっぷり入れたじょうろで水をやり、枯れた葉を取り除くときにあえてハサミを使うよう心掛け、細かい作業を増やす工夫をしてみるとよい。浅野教授によると、両手をしっかり使って握力を維持すれば、認知症予防につながるそうだ。また、種から育てることが大事なポイントだ。芽が出たり花が咲いたりするたびに喜びを感じると、「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンが分泌される。このホルモンが、免疫力を向上させる働きがあるからだ。

   まずは育てやすい植物から始め、長く続けることで心身ともに健康を目指したい。

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