【主治医が見つかる診療所】(テレビ東京)2016年7月25日放送
「認知症&生活習慣病に効く!最新ガーデニング療法」
美しい花は、生活に潤いをもたらしてくれる。しかも、花の恩恵はそれだけではない。医療や福祉の現場では今日、草花を育てるガーデニングが体に良い影響をもたらすとして注目されている。
高齢者の認知症予防、さらには脳梗塞やうつ病、糖尿病をはじめとする生活習慣病予防にも効果が期待できるそうだ。
アルツハイマー病の女性が積極的に話すように
兵庫県たつの市にある「リハビリテーション西播磨病院」に、74歳の男性Aさんが入院している。6年前にパーキンソン病となり、さらに昨年脳の血管に障害が発生。左足の動きが悪くなり、誰かの支えがないと歩けなくなった。院内では通常のリハビリに加え、30分間のガーデニングに精を出している。現在キュウリを育てているAさんは「楽しい」と話し、表情は明るかった。実は今では、杖を使えば自力歩行ができるようになったのだ。
もうひとり、80歳の女性Bさんは3年前にアルツハイマー病と診断された。新しい出来事は忘れてしまうことが多い。消極的になり、会話をしなくなった。だが1年前からガーデニングを始めると、Bさんに変化が見られた。番組スタッフが声をかけると、サクランボを栽培している様子をうれしそうに話し始めた。「花が咲いてきれい。サクランボの実がなって、それを食べて、楽しいことがいっぱい」と冗舌だ。今では、誰とでも積極的に会話をするようになった。
同病院の樫林哲雄医師はBさんについて、「自宅で引きこもりがちになっていたが、園芸を通して活動性が上がり、意欲と興味が改善してきた」と語った。さらにBさんの介護を続けてきた夫にとっても、会話の乏しかったBさんとコミュニケーションがとれるようになって、負担が軽減されたと話した。
草花やガーデニングを通しての「園芸療法」は、1950年代に米国や北欧で退役軍人を治療する目的から始まった。日本では2002年、阪神・淡路大震災の被災者ケアなどに取り入れられ、今日では全国の病院や福祉施設で実践されている。園芸療法を長年研究している東京農業大の浅野房代教授は、園芸療法は認知症やうつ、糖尿病、骨粗しょう症に有効で、生活習慣病の予防効果も期待できると説明した。