東京都心を走るタクシーの初乗り運賃を「410円」に値下げする実証実験が、JR新橋駅東口など4か所のタクシー乗り場で、2016年8月5日からはじまる。
折しもその日は、日本初のタクシー会社の誕生(1912年8月5日)を記念した「タクシーの日」で、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会は実証実験の出発式を行うことにしている。
でも、1.7キロ超えると今より高くなる
国土交通省は、東京都心のタクシーの初乗り運賃を「410円」に引き下げる「初乗り距離短縮運賃の実証実験」を行うと、2016年7月26日に発表した。
初乗り「410円タクシー」を広くPRするとともに、実験を通じて短い距離で気軽にタクシーを使う「ちょい乗り需要」がどの程度増えるかを検証。期間中、「410円タクシー」の利用者にはアンケートに答えてもらい、利用実態を調べる。
実験は8月5日~9月15日で、実施期間は異なるが、JR新橋駅東口(全期間)と浅草駅前が8月5日~18日、JR新宿駅東口が8月19日~9月1日、文京区にある東大医学部付属病院が9月2日~15日の各期間で行う。ビジネスパーソンや訪日外国人、高齢者などの「ちょい乗り」需要が見込める乗り場を選んだ。
日本交通など9グループ23社が40台のタクシーで実験する。流しの営業はしない。タクシーの車体には、初乗り運賃の値下げを示すステッカーを貼るという。
現在、東京23区(武蔵野市、三鷹市を含む)の初乗り運賃は2キロメートルまで730円になっている。今回の実験では、1.059キロメートルまで410円。その後は237メートルごとに80円が加算される。約1.7キロメートルまでは現行より安くなる計算だ。それを超えると今より高くなることもある。
東京ハイヤー・タクシー協会は「410円」の初乗り運賃について、国交省が3月に、2キロメートル時点で現在と同じ730円になるのであれば、運賃の改定(組み替え)として値上げの場合と比べて審査を簡単にするとしていたこともあって、「値下げではなく、運賃の『組み替え』になります」と説明する。
タクシー会社としては、初乗り運賃の距離を短縮して値下げすることで、高齢者や子育て中の主婦らの買い物や病院などへの行き来、雨天時の利用、急ぎの移動や大きな荷物を抱えているときなど、「生活の足」として気軽に利用してもらうほか、訪日外国人にも乗りやすくして利用を増やす狙いがある。
ちなみに、タクシー大手の日本交通が国交省への申請前に行ったシミュレーションによると、初乗り(2キロメートル以内)で下車してしまう利用者は、全体の27%にものぼっている。
すでに、東京都内の265社のタクシー会社が初乗り運賃の改定(距離短縮と運賃の引き下げ)を申請しており、国交省も審査に入っている。早ければ2017年春にも初乗り「410円タクシー」が走り出す。