日本銀行の金融政策決定会合の決定を翌日に控えた2016年7月28日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比187円98銭安の1万6476円84銭で取引を終えた。
前回、日銀が追加の金融緩和を見送った6月16日には、その決定を受けてドル円相場は1ドル103円台に急伸。日経平均株価も前日比で一時500円を超える大幅な下落となった。追加緩和はあるのか、ないのか――。市場関係者は戦々恐々だ。
28日は決定会合を見守り「買い控え」
米連邦準備理事会(FRB)は、7月27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、短期金利の指標であるフェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標を年0.25~0.50%で据え置く金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った。
FRBは15年12月に9年半ぶりの利上げに踏み切って以降、市場の混乱や雇用の減速によって半年以上も追加利上げを見送ってきた。16年7月は、英国の欧州連合(EU)離脱問題による市場の混乱が一服。「短期的なリスクは弱まってきた」と表明したものの、結果的に「見送り」と判断した。米国の利上げ再開は、秋以降に持ち越しだ。
この決定で、27日の米ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は小幅ながら、3日続落。前日比1ドル58セント安の1万8472ドル17セントで取引を終えた。取引終了にかけて、幅広い銘柄が売られた。
米国の流れを受けてはじまった7月28日の東京株式市場は、日経平均株価が一時214円54銭安の1万6450円28銭まで急落。米国の利上げ見送りで、外国為替市場がやや円高ドル安で推移。前日の日経平均株価が追加の金融緩和への期待や円安進行で大幅(26日比281円78銭高)に上昇したため、利益確定に伴う「売り」が出たとみられる。
第一生命経済研究所経済調査部の主任エコノミスト、藤代宏一氏は「久しぶりに注目度が高い金融政策決定会合になりました」と話す。
6月は、日銀が追加緩和を見送ったことに加え、英国の欧州連合(EU)離脱問題もあって株価は大きく下落。6月24日には、1万4864円01銭の年初来安値を付けた。
もともと、6月の金融政策決定会合は英国の国民投票を控えていて、「追加緩和はない」という見方が支配的だったが、追加緩和への期待が膨らんだ4月には大きく買われていたため、追加緩和の見送りで「失望売り」に押された。
それだけに今回、「追加緩和」を期待する向きは少なくない。
7月は「ポケモノミクス相場」の勢いもあって、日経平均株価は上昇傾向にある。その背景には、米国の株高・好景気と欧州での金融不安が薄れたことがあり、それにより円に流れ込んでいた投資マネーが止まって、円高が一服した。
7月28日は、日銀の金融政策決定会合のゆくえを見守りたいという投資家の思惑が働き、買い控えの機運が強まったことも、株価を下げた要因のようだ。