「年のせいで耳が遠くなった...」 悲しまないで、聴力は鍛えられます

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カギを握るのは「聴覚ネットワーク」

   東京大学医学部・耳鼻咽喉科学教室の山岨達也教授によると、「残念ながら有毛細胞は再生しません」。聴力の維持のカギを握るのは「聴覚ネットワーク」だ。

   これは、音にまつわる全てに関係している脳内の神経ネットワークを指す。

   耳からの情報を脳に伝達する時、邪魔な雑音をシャットアウトし、聞きたい音を選択しているが、年齢を重ねるとそれができなくなってくる。

   山岨教授「人が会話する時、100%音声を聞き取っているわけではない。重要なキーワードを脳が取り出している。これが『類推』で、聴覚ネットワークの大事な働きの一つ」

   聴覚ネットワークは、山岨教授が勧める「聴覚筋トレ」で鍛えることができる。

   「ちち(父)」「しち(七)」「きち(吉)」や、「しる(知る)」「ちる(散る)」「ひる(昼)」など、音の響きが似た言葉を紙に書き、一人がランダムに読み上げもう一人が復唱する。口の動きで単語を推測できないよう、背後から出題するのがポイントだ。まだ耳が遠くなるような年齢じゃないという人も、今のうちから鍛えておけば難聴予防につながる。

   お年寄りと会話する相手の気遣いも重要だ。

山岨教授「会話する時、耳元で大きな声を出すと耳を痛めてしまいよくない。自分の口元が見えるように。情報を処理する能力も衰えているので、ゆっくりとわかりやすく話すのも大事」

   口の形や表情、手振りで情報を多くするほか、例えば「しちじ(七時)」を「ななじ」と言い換えるなど、聞き間違えやすい言葉を工夫するのもよい。

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