更年期が早く始まる女性ほど、遅く始まる女性に比べ老化が早いという研究がまとまった。
これまで、更年期が老化を引き起こすのか、老化が原因で更年期を迎えるのか、専門家の間で「ニワトリが先か、卵が先か」と似た議論が数十年続いてきたが、「更年期が老化を進める」ことを世界で初めて実証し、長年の議論に終止符がうたれる可能性があるという。
閉経をきっかけに老化スピードが6%加速
日本産科婦人科学会によると、日本人の平均閉経年齢は約50歳で、早い人は40代前半、遅い人は50代後半に迎える。更年期障害は閉経の前後5年間に現れる。閉経年齢は個人差が大きく、女性ホルモンのバランスや体の老化のペースなどが関わっているとみられているが、理由ははっきりしていない。
この研究をまとめたのは米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のスティーブ・ホルバート教授らのチーム。「米科学アカデミー紀要」(電子版)の2016年7月25日号に発表した。
それによると、研究チームは、更年期を迎えた約3100人の女性の血液や唾液、ほおの内側から細胞のサンプルを採取した。細胞内のDNAを分析して様々な老化因子を計測し、体の老化の進み具合である生物学的年齢を割り出すことに成功した。そして、それぞれの女性一人ひとりの実年齢(暦年齢)と比較した。
その結果、閉経年齢の早い人ほど生物学的年齢が高く、閉経をきっかけに老化が加速し、それまでより老化速度が6%早くなることを発見した。つまり、早く更年期を迎えた人は老けるのが早いというわけだ。この結果について、ホルバート教授はこうコメントしている。
「6%くらいたいしたことがないように思えますが、この割合は女性の生涯にわたって加算されます。たとえば、42歳で閉経を迎えた女性の体は、50歳になるまでの8年間で、50歳で閉経を迎えた女性より生物学的に1歳多く年を重ねる計算になります。更年期が始まると、まず血液の老化のペースが早くなります。体のほかの部分も老化の進行が早くなり、様々な病気にかかるリスクが高まるのです」