容疑者は「優生思想」に染まっていたのか
こうした容疑者の考えがナチスの優生思想、T4作戦に連なるものだと指摘するネットユーザーが増えており、事件以降、ツイッターにはナチスドイツと事件をからめたツイートが激増。
「ヒトラーの障害者虐殺を連想しました」
「ヒトラーや優生学思想の医者達が言っていたのとまるっきり同じ」
といった感想が相次いだ。また、
「お前はヒトラーか」
「ナチスの思想に染まっていたのではないか」
と容疑者をヒトラーになぞらえ、容疑者の思想にナチス政権の影響を指摘する声も寄せられている。
「テレビでドイツ語」(NHK)にも出演する翻訳家のマライ・メントラインさんも「実はナチズムのエッセンスは未だ古びず、様々な形で再来する」と指摘した。
16年7月27日付け東京新聞朝刊のコラム「筆洗」は、「灰色のバス」と事件をからめ、「なぜ容疑者は『灰色のバス』のハンドルを握ってしまったのか」と書いた。同紙は同日の社説でも「障害者を劣った存在として排除する優生思想も垣間見える」と容疑者の行為を分析している。
知的障害者とその家族らでつくる「全国手をつなぐ育成会連合会」は事件を受けて7月26日、
「事件の容疑者は、障害のある人の命や尊厳を否定するような供述をしていると伝えられています。しかし、私たちの子どもは、どのような障害があっても一人ひとりの命を大切に、懸命に生きています。そして私たち家族は、その一つひとつの歩みを支え、見守っています。事件で無残にも奪われた一つひとつの命は、そうしたかけがえない存在でした。犯行に及んだ者は、自らの行為に正面から向きあい、犯した罪の重大さを認識しなければなりません」
との声明を発表した。