「雇用倍増」表明で歓迎ムードも
しかし、海外では米グーグルやアマゾンも半導体ビジネスへの参入を検討するなど、IoTをめぐる主導権争いは激しくなっている。市場では「今回の買収ではIoTという言葉だけが先走っている印象がある。半導体開発の経験のないソフトバンクがどこまで独自のカラーを出せるのか。技術革新の進歩は早く、いつまでもARMが安泰とは言えない」(アナリスト)との指摘もある。
英国ではフィナンシャルタイムズが日本のマスコミに先駆け、ソフトバンクによるARM買収を特ダネとして18日に報道。ソフトバンクがARMの雇用を倍増すると表明したことから歓迎ムードが広がった。しかし、英国市民の多くはハイテク企業としてARMを知っていても、「ソフトバンク」という日本企業の名前は知らないという。ソフトバンクが英国内では本格的な情報通信のサービスを行っていないためだ。これは日本人の大多数がARMを知らなかったのと同様だろう。日英間の報道ぶりにも温度差が見られ、「ARMのような英国にとってかけがえのない産業を外資へ売却するのはやめるべきだ」(高級紙ガーディアン)との論調もあった。