高校野球屈指のスラッガー、早稲田実業(東京都国分寺市)の清宮幸太郎(2年)の夏は甲子園に届かず終わった。第98回全国高校野球選手権西東京大会で早実は2016年7月23日、神宮球場で行われた八王子学園八王子との準々決勝で4-6で敗れた。
昨年の入学時から長打力を発揮している清宮の今大会の本塁打数は3本で、通算53本に。高校通算記録107本超えの戦いは、ほぼ半分まできた。
準々決勝でエースが崩れ、リリーフも抑えきれず
早実は3-6で迎えた9回、1死一、三塁と一発でれば同点の場面で「3番一塁」清宮がバッターボックスに向かう。右に大きな飛球があがったがスタンドには届かず犠飛に終わった。
この試合前まで5試合3本塁打と「怪物」ぶりを発揮してきた清宮。この夏は、清宮をしのぐともいわれ同2本塁打の1年生の4番、野村大樹とのコンビなどによる打力で準々決勝まで勝ち進んできた。3回戦の秋留台との試合では3回までに24点をあげ5回コールド勝ちだった。
早実の弱みは投手力。しかし、今大会は和泉実監督が「柱」にすえた吉村優が成長し、周囲の期待も高まっていた。吉村は15年夏の甲子園でベスト4入りしたエース松本皓と同じく打たせて取るタイプで粘りを身に付けたが、先発した八王子との準々決勝では2点をリードした5回に突如崩れ、救援の服部雅生も抑えられなかった。
早実の投手といえば思いだされるのは2006年。当時「ハンカチ王子」でおなじみになったエース斎藤佑樹を擁し、初の夏の大会優勝を遂げた。斎藤はこの大会で、西東京予選と本大会を合わせ13試合に登板し112回2/3を投げ防御率1.84と抜群の安定感をみせ、計125三振を奪った。
清宮ただいま53本、頂点は山本大貴の107本
清宮の打撃は、スポーツ紙でも元プロ野球選手の評論家が詳しい解説をするなど、昨年に比べて進化しているとの評価が多い。高校本塁打記録の107本に迫るためには、春、夏、秋の大会でできるだけ多くの試合に出るか、他校との練習試合を多くやるしかない。つまり、トーナメントの大会ではできる限り勝ち進み、打撃のチャンスを得たほうがいい。ということは、早実が失点をできるだけ抑えられる「ハンカチ王子」の再来が必要だ。今秋から来年春~夏にかけ、早実は投手力の整備を急がなければならないだろう。
ネットには、
「早実の弱点は明らかに投手陣だよなぁ...」
「素晴らしい投手を擁する所が甲子園にいくことを改めて認識」
など、早実の投手力の弱さを嘆く声が多く寄せられ、夕刊紙、東京スポーツの
「【早実】超大物OB・荒木大輔氏を投手コーチとして招聘」
のリツイートがラッシュになるシーンもあった。
高校野球の通算本塁打数の最高は山本大貴(神港学園→JR西日本)の107本。プロ入りした選手では中田翔(大阪桐蔭→日本ハム)の87本が最高だ。清宮の53本は、大久保博元(水戸商→西武→巨人、前楽天監督)の52本を上回り、大谷翔平(花巻東→日本ハム)らの56本に迫る。
■高校球児の通算本塁打数
山本大貴(神港学園→JR西日本)107本、黒瀬健太97本(初芝橋本→ソフトバンク)、伊藤諒介94本(神港学園→法大→大阪ガス)、中田翔87本(大阪桐蔭→日本ハム)、大島裕行86本(埼玉栄→西武)、横川駿85本(神港学園→立命館大→王子)、鈴木健83本(浦和学院→西武→ヤクルト)、中村剛也83本(大阪桐蔭→西武)、高橋周平71本(東海大甲府→中日)、奥浪鏡71本(創志学園→オリックス)、城島健司70本(別府大付→ダイエー→マリナーズ→阪神)、平田良介70本(大阪桐蔭→中日)、筒香嘉智69本(横浜→DeNA)、大田泰示)65本(東海大相模→巨人、清原和博64本(PL学園→西武→巨人→オリックス)、今宮健太62本(明豊→ソフトバンク)、江藤智61本(関東=現聖徳学園)61本、松井秀樹60本(星稜→巨人→ヤンキースなど)、松田宣浩60本(中京→亜大→ソフトバンク)