早くも「社会現象」となり始めたスマートフォンゲーム「ポケモンGO」。位置情報と連動するゲームの性質から、日本各地でスマホ片手に出歩く人の姿が目立つようになった。
一方、人気上昇の背後で「ポケストップ」をめぐる問題も顕在化している。ポケストップはモンスターを捕まえるための道具を手に入れたり、モンスターをおびきよせる道具を仕掛けたりするゲーム上の要所。その多くが実際の名所旧跡に設定されており、プレイヤーが立ち入り禁止区域に侵入しようとするトラブルも起こった。
熊本城の立ち入り禁止区域内で「ポケモンが出なくなった」
2016年7月22日のリリース直後に、早速トラブルが起こった。正午前、熊本城(熊本市)の立ち入り禁止区域近くで、プレイヤーの男性が「ポケモンGOをしたいので禁止区域内に入らせてほしい」と警備員に話しかけた。警備員が区域内に侵入する危険性を説明したところ、男性はすぐに立ち去った。
これを受け、熊本城総合事務所は同日午後に「立ち入り禁止区域内をゲームの対象から外して欲しい」と任天堂へ申請。同社から同日中に「(開発元である)ナイアンティックの関連会社にゲームの対象から外すよう伝えた」と報告があったという。
そして翌23日、事務所職員が自分のスマホで確認したところ、「立ち入り禁止区域内でポケモンが出ないようになっていた」。同事務所によると、それから26日まで立ち入り禁止区域内に入ろうとするプレイヤーは見かけていないという。
ネット上では、立ち入り禁止区域を含めた熊本城の敷地内にポケストップがたくさんある、との報告が寄せられていた。「ポケモンが出ないようになった」とはどのような状態か不明ながら、プレイヤーのツイートを見る限り、モンスターの集まりやすいポケストップが削除されたということらしい。
公式サイトには「削除申請用フォーム」も
日本中に点在するポケストップ。しかし、その選定方法は明かされていない。一説には、姉妹版の位置情報ゲーム「イングレス」の重要なポイントである「ポータル」と同じだとされるが、はっきりしない。J-CASTニュースでは、16年7月25日からナイアンティック側に選定方法を問い合わせているものの、26日夕現在、回答は寄せられていない。
なお、ポケモンGO公式サイトにはポケストップ削除申請用のフォームが設けられているほか、新しいポケストップの追加申請を受付けていないことも明記されている。
出雲大社(島根県出雲市)のように「プレイヤーお断り」の方針を打ち出す名所旧跡もあらわれる中、トラブル回避のため、開発元とプレイヤー、観光地が互いに知恵を絞る必要がありそうだ。
(7月26日19時20分追記)
開発元のナイアンティックは26日夕、J-CASTニュースの取材に回答を寄せた。
まず、ポケストップの選定方法について
「名所旧跡、公共空間における芸術作品、その街のユニークなお店など、実際に訪れる価値がある場所を中心として、ポケストップとジムを配置している。これは史跡の一覧などのような情報源と、イングレスのユーザーから寄せられた情報をもとに作られている。ユーザーからの情報については、ナイアンティックが見て、危険がないか、一般に立ち入れる場所かなどについて、レビューしたうえで公開している」
と明かした。
また、ポケストップを削除するには「公式サイト内にある申請フォームからの申請が別途必要」だと答えた一方、削除されたポケストップの場所や削除申請後の審査期間は「公開していない」と説明している。