世界中で爆発的な人気を誇る「ポケモンGO」の陰で、スマートフォン向けのゲームアプリを配信するガンホー・オンライン・エンターテイメントやコロプラ、ミクシィといったゲーム大手が戦々恐々としている。
「ポケモンGO」で遊ぶ人が増えることで、自社のゲームで遊ぶ人が激減しかねない事態に陥っているからだ。
早々に「パズドラ」「モンスト」を抜くかも?
とにかく、ものスゴイ人気だ。街でスマートフォンを手に、うろうろと歩いている人が急増したと感じている人は多い。「ポケモンGO」の影響と見られている。
ゲーム大手の任天堂の株価は、「ポケモンGO」が米国やオーストラリア、ニュージーランドでリリースされた2016年7月6日以降の連日の大商い。日本での配信がはじまった22日には、任天堂株だけで東証1部全体の売買代金の約3割を占めたほど。25日の株価はストップ安の2万3220円で取引を終えたものの、株価は一時2倍超の3万2700円(7月19日、年初来高値)まで膨れ上がった。
店舗で「ポケモンGO」のアイテムなどが獲得できる日本マクドナルドホールディングスや、任天堂と共同でスマホゲームの開発・運営するディー・エヌ・エー(DeNA)、子会社がポケモン関連事業を手がけるイマジカ・ロボットホールデヂィングスやサノヤスホールディングス、任天堂と取引のある、プリント配線板のシライ電子工業、モバイルバッテリーのエレコムなど、「ポケモンGO」関連銘柄も軒並み値上がり。「ポケモンGO」相場は沸きに沸いている。
そんな盛り上がりをみせる「ポケモンGO」関連銘柄を横目に、気が気でないのが任天堂に競合するゲーム大手だ。「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)のガンホー・オンライン・エンターテイメントや「モンスターストライク」(モンスト)のミクシィ(mixi)、「白猫プロジェクトや「魔法使いと黒猫のウィズ」のコロプラがそれ。
「パズドラ」は16年3月30日に世界累計4100万ダウンロードを、「モンスト」は4月29日に3500万ダウンロードを突破。「白猫プロジェクト」は6月27日に1億ダウンロードを、「魔法使いと黒猫のウィズ」は6月18日に3800万ダウンロードと達成した、いずれも大人気のスマホゲームだ。
日本での「ポケモンGO」のダウンロード数は、7月22日に配信がはじまったばかりなので不明だが、先行した米国などのダウンロード数は、わずか半月で3000万に達したと報じられている。これに日本でのダウンロード数が加わるのだから、早々に「パズドラ」や「モンスト」「魔法使いと黒猫のウィズ」を抜く可能性もある。
ミクシィ株18%安、ガンホー株は12.4%も値下がり
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、日本での配信がはじまったばかりなので「ポケモンGOのスマホの時間占有率は不明」としたうえで、「ポケモンGOで遊んでいるときに他のゲームはできませんから、ポケモンGOで遊ぶ人が増えれば、他社のゲームの占有率が落ちるのは当たり前のこと。それにより収益に影響が出るというのは自然な流れです」と説明する。
2016年7月25日のミクシィの株価は、同日にアニメ映画「モンスターストライク THE MOVIE」を12月10日に劇場公開すると発表したことを「買い」材料に、前週末の7月22日と比べて115円高い3625円で引けた。しかし、「ポケモンGO」が米国で配信されて以降、株価は下落傾向で、6日から18%(795円)も下落した。
ガンホー株は25日、前日比4円安の248円。6日からは12.4%(35円)も値下がりした。コロプラは32円安の1918円。6日には2000円台だったが、そこから4.2%(85円)下落していた。
一方、「ポケモンGO」は有料アイテムの販売はあるものの、「パズドラ」や「モンスト」などにみられる、ゲーム大手が収益源としている「ガチャ課金」の要素を抑えている点で、従来のスマホゲームと一線を画している。また、ゲームと企業(日本マクドナルドHD)とのコラボレーションという新たな手法も導入され、こうした「仕組み」の収益寄与度もまた、注目されている。