任天堂の株価が2016年7月25日、ストップ安(値幅制限)の2万3220円に急落した。
世界中で大人気のスマートフォン向け無料ゲーム「ポケモンGO」が日本でリリースされた7月22日の終値から5000円(17.7%)もの値下がりだ。
任天堂への収益貢献は「期待はずれ」
米国などでの人気が沸騰し、日本でもこの週末はスマートフォンを見ながら歩き回っている人が街にあふれて爆発的な人気が伝えられている「ポケモンGO」。その影響で、ゲーム大手の任天堂株は、「ポケモンGO」による収益への貢献が期待され、前週末までに大きく買われていた。
7月22日も、日経平均株価が182円97銭も下がる(終値1万6627円25銭)なか、前日比220円高の2万8220円まで上昇していた。
ところが、週明け25日の任天堂株は「売り」が殺到。朝から売り気配ではじまり、しばらく値がつかなかった。その後も多くの時間帯で4000円台の下げ幅で推移。14時前に、値幅制限いっぱいの5000円(17.7%)安の2万3220円を付けると、そのまま取引を終えた。
とはいえ、株価急落のきっかけは当の任天堂が7月22日、東京株式市場が取引を終えたあとに発表した、「ポケモンGOの連結業績への影響は限定的」とのコメントにあるとみられている。
「ポケモンGO」は、任天堂と、米ベンチャー企業のNiantic Inc.と任天堂が議決権の32%を保有するゲーム企画会社のポケモンが共同で開発。開発や配信は主にNiantic Inc.が行ったため、任天堂の利益は関連会社であるポケモンを通じて得られるライセンス料や開発協力費にとどまる。
さらに、任天堂は「ポケモンGO」を便利に遊ぶためのウェアラブルデバイス「ポケモンGO Plus」を7月末に発売するものの、「この分は4月に公表した連結業績予想に織り込み済み」になることを明かしていた。
松井証券のシニアマーケットアナリスト、窪田朋一郎氏は「『ポケモンGO』による任天堂への収益貢献を、『期待はずれ』と見る向きが多かった」と指摘。個人、法人を問わず、「さぞ、儲かるだろう」とみていた投資家が、一斉に利益を確定して売りに走ったということのようだ。