実は「導入済み」だった ヘリコプターマネーの正体

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「積極財政と金融緩和の組み合わせは広い意味でヘリマネ」

   ヘリマネ論は、まともに考えれば筋の悪いと思われる話で、実現性にも乏しいが、今、ここまで話題になる背景には、アベノミクスの行き詰まり感がある。金融政策だけではデフレ脱却は期待できないので、政府の財政出動で協調すべきだとの声が市場にはじわりと増えつつあり、それが「ヘリマネ待望論」として広がったというわけだ。

   こうした点で、市場はややいい加減だ。「ヘリマネと言っても、厳密な意味でなく、財政支出拡大を大げさにヘリマネと表現している向きが多い」(全国紙経済部デスク)という。「積極財政と金融緩和の組み合わせは広い意味でヘリマネ」と言う市場関係者もいる。

   そう考えれば、異次元緩和(大規模な国債買い入れ)という第1の矢、財政支出という第2の矢というアベノミクスを実施した2012年末の安倍政権発足直後から、今言われるような「広義のヘリマネ」はとっくに導入済みとも言え、「『ヘリマネ』という目新しい看板を掲げたところで、実態は何も変わらない」(エコノミスト)との冷めた声も少なくない。「財政規律が失われるリスクがあり、必ずしも好ましい政策ではない」(全国銀行協会の国部毅会長=三井住友銀行頭取、7月14日の記者会見)との警戒感も、当然強い。

   安倍政権は秋に大規模な経済対策を打つ。全体の規模は20兆円、真水(直接の財政出動)は3兆円から5兆円規模に膨らむ議論になりつつある。金融政策頼みの限界の指摘の一方、政府が財政出動に舵を切った以上、日銀が呼応して追加緩和に動くべきだとの市場の期待感が高まっているのも、ヘリマネ論がもてはやされる一側面だ。

   日銀は28、29日に金融政策決定会合を開く。市場の期待を制御し、いかに相場を軟着陸させるのか。日銀のかじ取りに注目が集まる。

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