駅で倒れている人にAED(自動体外式除細動器)を使って応急処置をしようとしたら、看護師を名乗る別の人に「使うな」と止められた――。ツイッターのこの投稿が話題となった。投稿者も看護師だというが、投稿者は、使用を止められたことに「おかしい」と疑問を呈している。
AEDは電気ショックを与える装置だが、機器自体が必要かどうかを判断し、不要ならば電気は流れない構造になっている。投稿者はもしもの事態を考えて確認のために使ったというが、使用・不使用の判断はどちらが正しかったのか。
使い方は機器が音声で教えてくれる
一連の投稿があったのは2016年7月17日。それによると、横浜駅で16日、急性アルコール中毒で倒れている人がおり、嘔吐(おうと)が続いていた。患者は脈拍数が異常に減少する「徐脈」の状態で、程度は不明だが「意識レベルが低下」していたため、投稿者はAEDを使う判断をした。
すると、その様子を見た通りすがりの「自称」看護師に「AEDなんか使うな!すぐ剥(は)がして!」とだけ言われたという。実際に剥がしたかどうかは不明だが、投稿者は「(AEDは)必要なかったらちゃんと『使わなくてOK』って言ってくれるから確認の為でも使った方がいい」として、「見ただけで必要無いっていうのはおかしい」と反発している。
AEDは、脈が小さかったり止まったりして正常に血液を送り出せなくなっている心臓に電気ショックを与え、脈を正常なリズムに戻す救急用の医療機器だ。ビルや駅、学校への設置が進んでいる。厚生労働省の15年の発表によると、医療従事者でない一般の人も扱えるようになった04年7月以降急速に普及し、累計販売台数は全国で63万台。初めての人でも扱えるよう、AED自体から音声ガイドで順を追って指示が出るほか、ケースに取扱方法が書かれている。各メーカーや日本救急医学会のウェブサイト上でも使い方が説明されている。
電気ショックと言っても、投稿者が言うように、心電図の自動解析後に機器が「必要あり」と判断した場合のみ、電気が流れる仕組みだ。安全性は確保されていると言えそうだが、場合によっては使用しない方がよいのか。J-CASTヘルスケアは、日本救急医学会に取材した。