過去には秋以降に「反動減」の年
暑さは、西日本では引き続き「猛威」をふるい、やや収まっている東日本でも8月には暑さが戻る見込みだ。猛暑の原因とされるのが、南米ペルー沖の海面水温が低くなる「ラニーニャ現象」。これが発生すると、地球の大気の流れが変わり、世界のあちこちで異常気象が生じる。一番最近では2014年夏から冬にかけてで、西日本から北日本の日本海側で10月を中心に暖秋、12月から翌年2月までは例年以上の寒波や降雪に見舞われた。また、影響が大きかったのは1994年と2010年の夏で、いずれも記録的な猛暑になった。
この猛暑効果が国内総生産をどのくらい押し上げるのか。第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは、日照時間が2010年並みと1994年並みの場合を想定し、個人消費増に伴う輸入増加というGDPへのマイナスも加味して試算。2010年並みになった場合は5,300億円(0.4%)、1994年並みの場合は7,200億円(0.6%)、7~9月期の実質GDPを押し上げると弾いている。日本総合研究所の小方尚子主任研究員も、7~9月期の平均気温が1度上昇すると、実質GDPベースの個人消費を0.34%押し上げると予測している。
ただ、秋からの反動減の懸念もある。実際、2010年の場合、7~9月期GDPは実質前期比0.9%増が、10~12月期は0.8%減に落ち込んでいる。今年は春の賃上げが前年を下回り、夏のボーナスも大企業では増えているものの、日本生命保険のインターネットでのアンケート調査では前年比3.2%減るなど、所得も伸び悩んでおり、「夏・秋をならせば個人消費はプラス・マイナスゼロ」(エコノミスト)と見る向きもあり、猛暑による消費拡大も需要の「先食い」に終わる可能性もある。