かつて東京メトロ丸ノ内線を走った電車が「第3の人生」を送ろうとしている。現行の「02形」が登場する前に走っていた「500形」は、40年近くにわたって丸ノ内線の顔として親しまれ、日本で引退後は南米・アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスの鉄道会社に譲渡されて20年以上にわたって地元の足として親しまれていた。その旧500形がアルゼンチンでも活躍を終え、そのうち4両が、このほど「里帰り」を果たした。補修作業が終わり次第、イベントなどでお披露目される予定だ。
補修して研修やイベントに
500形は丸ノ内線を1957年から95年にかけて走った。赤地に白帯、その白帯の中にステンレスのカーブを配したデザインで知られていた。日本で廃車になった500形は95年からアルゼンチンのメトロビアス社に譲渡が始まり、今回里帰りした4両は96年にアルゼンチンに渡った。丸ノ内線は、電車の屋根のパンタグラフではなく、「3本目のレール」から電気を取る「第三軌条」と呼ばれる方式。ブエノスアイレスの地下鉄も丸ノ内線と近い環境だったため、あまり改造されることなく現地でも活躍してきた。
その旧500形が、鉄道技術の発展に貢献した車両として改めて日本で保存されることになった。4両は2016年5月に現地を船で出発し、2か月強かけて日本に到着。7月11日に大黒埠頭(横浜市)に陸揚げされ、7月21日深夜と22日深夜の2回に分けて中野車両基地(中野区)に運び込まれた。現地での痛みが激しいため、補修にどの程度の時間がかかるかは現時点では不明だ。線路の上で動かせる「動態保存」の状態で社員教育やイベントでの活用を目指している。
ジャカルタでは東京メトロ、JR東日本、東急の電車が沢山走る
丸ノ内線の500形以外にも、海外で活躍している東京メトロの車両は多い。東西線の5000系と05系、千代田線6000系、有楽町線7000系として活躍した車両は、今はインドネシアの首都ジャカルタの鉄道「KRLジャボタベック」で走っている。この「KRLジャボタベック」は、レールの幅が1067ミリでパンタグラフから電気を取る形式。日本の一般的な鉄道との共通点が多い上、空調がついている点でも評価が高く、東京メトロ以外にも多くの鉄道会社が車両を譲渡している。JR東日本の103系、205系、東急の8000系、8500系などが、日本時代の面影を残しながら走っている。