「主張が一貫していない」との批判も
識者からも実現性を疑問視する声が相次いだことを受けてか、その後小池氏の「冒頭解散」方針は明らかにトーンダウンしている。
出馬会見から2日後に開いた会見では一転、議会の解散について一切言及することはなかった。さらに、告示日14日に公式サイト上で公開した「政策・理念」欄には、「都政の透明化」という一文を掲載しただけで、具体的な説明は全くみられない。
また、小池氏が17日にツイッターに寄せた「コミケを応援します」という趣旨の投稿も反発を呼んでいる。小池氏が「児童買春・ポルノ禁止法の早期改正を国会に求める請願」の紹介議員になっているため、「漫画などの表現を規制する考えがある」「選挙の時だけのリップサービスでは?」と疑う声が出ているのだ。
小池氏陣営は18日のJ-CASTニュースの取材に「表現規制推進派というのはデマです」と明言しているが、ネット上では「規制派にしか見えない」「主張が一貫していない」との批判が飛ぶ。
さらに、小池氏が17日の演説で口にした、鳥越氏に対する「病み上がりの人」発言も物議を醸している。これは主要3候補が出演した19日放送の情報番組「バイキング」(フジテレビ系)内で、鳥越氏が「差別」と強い語調で抗議したことで注目を集めた。
鳥越氏の追及に対し、小池氏は「もし言っていたならば、失礼なことを申し上げて恐縮です」と番組中に謝罪した。番組の放送後には、「差別というよりは選挙中に行き過ぎた発言になった」と釈明していた。この小池氏の表現を「正論」と受けとる向きもあるが、一方で「許せない発言」と批判する声も根強い。
反発する動きも目立ち始めた小池氏の「パフォーマンス選挙」。浮動票の獲得に向けては、自らが口にした発言の「責任」をどこまで負えるのか、が重要になってきそうだ。
また、小池氏は主要3候補の中で唯一の現役議員だった(立候補に伴い衆院議員を自動失職)ため、政治資金をめぐる問題が掘り返される可能性がある。実際、立候補表明後に政治資金収支報告書の記載に関する「公私混同疑惑」が相次いで指摘され、報告書の一部を訂正している。
小池氏本人は「公私混同は一切ありません」としているが、今後も厳しい「身体検査」が続く可能性は高い。カネの問題で辞職した舛添要一前都知事の後任を決める都知事選だけに、1つの不祥事が大きな命取りになりかねない。