めまい放置したら突如バッタリ卒倒 予防のカギは「寝返り」「ジャンプ」

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プールでの運動で症状改善

   神奈川県で工務店を営む佐藤邦之さん(42)は3年前、仕事中に飛行機や登山で高所にのぼった時のような違和感を、突然右耳に覚えた。

   日常生活には支障がなかったため様子を見ていたら、4日後の早朝、布団から立ち上がろうとした時に激しいめまいを発症。さらに、右耳の、主に低音の聞こえが悪くなった。

   その後、立っての移動がほぼ不可能になるほど悪化し、ひどい時には半日めまいが続いた。病院にかかると「メニエール病」と診断された。

   内耳には「蝸牛(かぎゅう)」という器官がある。外リンパ液と内リンパ液という液体で満たされていて、耳から入ってきた音を液体の振動に変えて脳に伝える役割を担っている。メニエール病は、内リンパ液がたまりすぎてしまう病気だ。原因はまだ解明されていないが、過度なストレスがかかった後、ほっとした時に発症しやすい。

   メニエール病は、数分でめまいが収まる良性発作性頭位めまい症と違い、10分以上めまいが続く。耳鳴り、耳がつまった感じ、耳の聞こえが悪い症状をともなうことも多い。

   進行性の病気のため早期発見が重要で、治療が遅れると難聴が残る場合もある。違和感を覚えたら、できるだけ早く耳鼻咽喉科にかかるとよい。

   治療は利尿剤などの薬物や、ストレスをためないようにするといった生活習慣の改善指導が一般的だが、佐藤さんは「水分摂取療法」を実施している。

    水分が不足し体が脱水状態になると、脳から体内に水分をためこむ「バソプレッシン」というホルモンが分泌される。メニエール病の患者はバソプレッシンが内耳で働きすぎ、水分がたまりやすくなっている。水分を積極的にとることで、バソプレッシンが働きすぎない環境を作るのが水分摂取療法だ。佐藤さんは1年半ほどで症状が出なくなったという。

   水分を多くとると心臓と腎臓に負担がかかるので、必ず専門医の指導のもと行う。自己判断で行うのは厳禁だ。

   北里大学医学部・神経耳科学の長沼英明教授は、中耳炎が起きていない患者にはプールでの水中運動を勧めている。

   体に水圧がかかると、静脈から心臓に戻る血液量が増える「静脈還流」が起こる。心臓がしっかり収縮し、耳も含め全身の血流がよくなり、改善が期待できる。

   このほか、「顔や手足のしびれ・まひ」「ろれつが回らない」「ものが二重に見える」「立てない・歩けない」症状をどれか一つでもともなうめまいは、脳出血、脳腫瘍、脳梗塞など、命にかかわる脳の病気が疑われる。すぐに救急車を呼び、脳神経外科か神経内科を受診しよう。

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