成人の20歳が相手でも『淫行』っていうの?――。2016年7月21日発売(首都圏など)の週刊文春が掲載した「鳥越俊太郎『女子大生淫行』疑惑」と題する記事をきっかけに、インターネット上で「淫行」の定義が話題となっている。
「淫行」と聞くと、18歳未満の青少年に対する性的な行為を規制する「淫行条例」(通称)を連想する人が多いのか、20歳の被害女性をめぐる今回の文春記事に対して「見出しと中身が一致してないのでは?」と違和感を表明する人も相次いでいる。
辞書的な定義では、年齢要素は登場せず
文春が「淫行疑惑」との見出しで掲載した記事では、鳥越氏が2002年、当時20歳の女子大生に「強引にキス」したなどとしている。それ以上の関係を迫ったが、「未遂に終わった」と伝えている。この記事を受け、ツイッターやネット掲示板には、
「20歳が相手なのに『淫行』はないだろう」
「相手が20歳で淫行はおかしい」
「20歳でも『淫行』なのかな?言葉に違和感が」
という指摘が続出した。
だが、「淫行」という言葉を広辞苑(第6版)でひくと、「みだらなおこない」と定義されているだけだ。ほかの辞書をみても、「みだらな行ない」(デイリーコンサイス国語辞典)、「社会の性道徳から外れた行為」(デジタル大辞泉)との記述。いずれも、とくに年齢に関する記載はない。
「『淫行条例』とは、分けて考えた方がよいのかも」
それでも「20歳だから淫行ではない」といった指摘が数多く出ることになった背景には、18歳未満の青少年への行為を対象にした「淫行条例」の存在がありそうだ。
これは47都道府県が青少年保護育成条例の中に定めている「淫行処罰規定」の通称で、18歳未満の男女との「みだらな性行為」を規制する内容になっている。新聞などマスメディアの報道で「淫行」という言葉を目にする場合、この淫行条例に関するニュースの場合がほとんどのようだ。
それでも辞書的定義で「淫行」を捉える人もいて、ツイッターなどには、
「淫行条例の淫行の定義と言葉としての淫行って違う」
「広い『淫行』の定義の中に『未成年者との性行為』が含まれる、というだけの話」
「各都道府県が出している『淫行条例』とは、分けて考えた方がよいのかも」
といった、文春報道に理解を示す声も寄せられている。