東京都知事選(2016年7月31日投開票)に立候補しているジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)が2016年7月21日夕、東京・中野駅前で報道陣の囲み取材に応じた。過去の女性問題疑惑を「週刊文春」最新号が報じた問題は、「私の法的代理人である弁護士の方に一任している」などと具体的な説明を避けた。
一方、同日午前に行われた民進党都連の選対会議で、記事について「どう見ても、ちょっと異常」で、「何か政治的な力が働いているとしか思えない」と述べていた点については、「何も事実があるわけではない」とトーンダウンさせた。
「鳥越さん、ジャーナリストなんですけども...」
文春の記事をめぐっては、7月21日午前、弁護団は名誉棄損と公選法違反の疑いで東京地検に告訴状を提出した。これを受け、鳥越氏は
「私は弁護士の方に一任している。それ以上のことを言うつもりはない」
と話し、記者の
「鳥越さん、ジャーナリストなんですけれども、司法の手に委ねるという(のではなく)、言論で返す考えはないのか」
という疑問にも
「それはもちろんあるが、とりあえずは事実無根なので、きちっと法的措置を取ることがまず第一だと思ったので、それから始めたい」
と主張し、政治家になろうとする人の説明責任についても、
「説明の責任は、私の法的代理人のところから、きちっとさせていただく」
「告訴状を提出していただいたので、今後は法的な裁判ということになってくるので、具体的なことを私の一存で言及するのは控えさせていただきたい」
「(文春記事の選挙活動に対する)影響がどうかということをお聞きしたいのであれば、私の弁護士に聞いていただければお答えできる」
などと繰り返した。一方で、弁護団は
「今後につきましては、選挙運動に集中すべきであると考えます。よって、この件につきましては、会見等を開くつもりは無いことを本書面をもってお伝え致します」
とするコメントを発表している。
「政治的な力」発言は「理由も何もありません。僕の勘」
午前中の「政治的な力が働いているとしか思えない」という発言に質問が及ぶと、
「いやいや、それは私の感想なので、事実を確認したわけではないので、それをあんまり強く言うことは控えたい」
「理由も何もありません。僕の勘。私は51年間この仕事をしてきて、直感をいつでも働かせながら仕事をしてきた。そういうものがあるかも知れないなと思ったが、何も事実があるわけではない。『こういう事実があるからこうだ』というつもりは全くない」
と、一気にトーンダウンした。
鳥越氏は囲み取材に先だって約20分間にわたって演説を行い、
「報道の現場というのは常に、どこに行っても色んな人、様々な人...これは老人も子どもも若い人も女性も、障害を持っている人も、場合によって犯罪を犯した人も、冤罪に問われた人も、様々な人の声に耳を傾けてきた。私は、おそらく他の候補と違っているところは、皆さんの声をちゃんと聞く耳を持っているというということだと思います」
などと、文春記事については全く触れないまま、記者としての職業倫理を強調していた。