「病気が大いに私を鍛えた。ユニークな挑戦でした」
日本の糖尿病患者や医療関係者でつくるウェブサイト「糖尿病ネットワーク」は2016年7月15日付で、「英国のテリーザ・メイ新首相は1型糖尿病 『糖尿病でも何でもできる』」と題して特集を組んだ。
それによると、メイさんが1型糖尿病を発症したのは、2012年11月、56歳の時だ。重い風邪にかかり、体重の減少が激しかったので精密検査すると1型糖尿病だとわかった。この年の夏にロンドン五輪があり、メイさんは内相としてテロ対策にあたり、ずっと帰宅が午前様の激務が続いていた。晴天の霹靂だったが、メイさんはくじけずに仕事を続けた。
英国糖尿病学会の機関誌「Diabetes UK」のインタビューにこう答えている。
「すぐに気を取り直し、インスリン注射を毎日4回行なうことを受け入れました。職務の都合上、人前で注射しなければならない時もあります。もちろん同席している人にそれが必要であることを伝え、断ってから行います。また、会食をとりながら会議をする場合が多くあります。下院議会の最中に議場で(栄養補給のため)食事をとらなければならない時もありました。私は内務大臣の仕事をしながら、糖尿病をコントロールし、体のコンディションを整える方法を学びました。病気により大いに鍛えられました。糖尿病とうまく付き合うことを学ぶのは、ユニークなチャレンジでした。糖尿病であることは、何に対しても障壁にはなりません」
英国には、スティーヴ・レッドグレーヴ氏という1984~2000年までのオリンピックで5大会連続ボート競技の金メダルを獲得したスーパー・アスリートがいる。彼は、最後の大会の前に1型糖尿病を発症、しかも潰瘍性大腸炎という難病まで併発しながら金メダルを獲った。メイさんはロンドン五輪の仕事を通じてレッドグレーヴ氏と知り合い、力をもらったという。
「非常に感動しました。糖尿病とともに生きながら、誰からも称賛される実績を積み重ねる方法を学びました。彼は人々に勇気を与えています」