反骨で気短の愛妻家 元木昌彦が見続けた大橋巨泉の素顔

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親友永六輔さんの死は知らずに逝く

   巨泉さんの還暦祝いの席だった。「たけし事件」以来、講談社との関係が途絶えていたビートたけしさんに私を紹介してくれた。「二人でうまくやれよ」。和やかに飲みながら、日を改めて会いましょうとなった。だが、その直後、たけしさんはバイク事故を起こしてしまう。

   何度か千葉の自宅に遊びに行ったことがある。庭先がゴルフ場の何番ホールかのティーグラウンド。最後に訪ねたのは数年前になる。がんと闘っていたが思ったより元気で、ワインをたらふく飲み、カラオケで演歌からジャズまで歌い合った。

   ゴルフは生涯の友だった。奥さんはだいぶ後になってから始めた。「この間カミさんにオーバードライブされたよ」と嬉しそうにいっていたのを思い出す。

   趣味を極め、セミリタイヤして年の3分の2を季候のいい海外で暮らし、がんとの闘いを決して諦めることはなかった。

   だが巨泉さんが望んだ山口さんを超えることはできなかった。現代の連載は930回で無念の最終回。最後に気力を振り絞ってこう書いた。「選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい」。

   永さんの死と参議院選の結果は本人には伝えなかったと聞く。

元木昌彦(元週刊現代編集長)

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