九電、経産省内でも警戒感強まる
先述したように国内で稼働する原発は川内原発1、2号機のみで、その川内原発も10月以降に定期検査に入る。関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)は再稼働直後の3月、大津地裁の運転差し止め仮処分決定で稼働停止になったまま。四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)は7月下旬にも再稼働する予定だったが、冷却水ポンプの不具合で8月以降にズレ込む見通しだ。
原発新増設が見通せないなか、2030年度の電源構成で原発を20~22%とする政府目標を達成するには各地の原発の再稼働が欠かせないが、さまざまな要因で待ったがかかっている。菅義偉官房長官は記者会見で「(鹿児島の)新知事とお会いして話をうかがいながら進めていきたい」と述べ、積極的に協議を進める考えを示した。「よく考えを聞いてみないと、どうすればいいか分からない」。九州電力や経済産業省内でも三反園知事誕生に警戒感が強まっている。
ただ、三反園氏の立場は微妙だ。選挙戦を通じて「原発のない社会を目指す」とは掲げたものの、原発推進派の自民系議員ら保守層からの支援も得ての当選だけに、当選後は「いろんな人の意見を聞きたい」などと言葉を選ぶ場面が目立つ。最近では質問がない限り自ら進んで原発を語ろうとはしないようだ。とはいえ、「反原発票20万」の重みがあるだけに、反原発団体から突き上げられればある程度動かざるを得ないと見る向きもある。いずれにせよ、伊藤知事時代と原発に対するスタンスが変わるのには違いなく、各方面から三反園氏の「次の一手」が注目されている。
7月20日配信の朝日新聞デジタル記事は、「三反園氏、川内原発一時停止申し入れへ 『8月中にも』」との見出しで、三反園知事のインタビュー記事を載せた。