宋美玄さんが米国学会の声明に「当然の推奨」
米国産科婦人科学会が出したのは「経膣分娩(通常の出産)に伴う裂傷の予防と管理」という声明だ。それによると、米国ではルーティンで会陰切開を行なっている医療機関は、2000年の時点で33%もあったが、2012年には12%に減った。「しかし、依然として10人に1人の妊婦に対し、分娩時の状態を考慮せずに機械的に会陰切開が行なわれているのは問題で、どうしても必要な場合に限るべきだ。会陰切開は産後の便失禁のリスクを高め、性行為を再開するのが遅くなり、性交痛を訴える割合が高くなるおそれがある」と指摘した。
この声明がインターネット上で報道されると、出産を控えるママたちのウェブサイトにこんな声があがった。
「米国で全員切るところが1割も残っているなら、日本にはどのくらいあるの? 会陰切開を行なわない方針を掲げる分娩施設を探したいのですが...」
女性に支持が多い産婦人科医の宋美玄さんが、自身のウェブサイト「宋美玄のママライフ実況中継」(7月6日)でこの声明を取り上げ、「会陰切開はデリカシーとは関係ありません」と題し、こう語った(要約抜粋)。
「米国産科婦人科学会が、会陰切開をお決まりの作業として行なわず、限られた状況で実施すべきとしたことは、当然の推奨です。会陰切開は状態が悪い胎児を少しでも早く分娩させるために行なわれます。無傷で出産できれば、それが一番素晴らしいことですが、頭が出かかった状態で会陰が伸びきってしまい、切らなかったために、膣の壁に複雑な深い傷ができたり、肛門まで傷が伸びたりすることがあります。『会陰切開を受けるかどうか自分で決めたい』と考える妊婦さんもいますが、それはなるべく帝王切開をしたくないというのと同じで、実際にトライしないとわかりません」
そして、こうつけ加えた。
「一部では、『医者はすぐ切りたがる』という声を聞きますが、日本では切開するのも傷を縫うのも医師の仕事ですから、切らないに越したことがないというのが大半の産婦人科医の意見のはず。もし、日本でまだお決まりで行なっている施設をご存知の方がいたら教えてください」