経団連は「評価」と「懸念」
併せて、企業の過度の節税や脱税、犯罪がらみの資金洗浄に使われやすいペーパーカンパニーについても、実質的な所有者を開示させる仕組み作りを進め、実体のない子会社の所得は親会社がある本国から課税できるようにすることにした。
これにより、課税逃れへの国際的な枠組みがひとまず整った。
だが、経済界の受け止めは複雑だ。経団連などは、低税率国を使った欧米企業の過度な節税に歯止めがかかれば、競争条件の不公平が是正される点を評価する一方、「新興国との間で二重課税が発生するリスクがある」(経団連の井上隆常務理事)との懸念も根強い。多国籍企業から税金を多く取ろうとの思惑で参加に積極的な国もあるといわれ、ルールが乱用される懸念が残るのだ。
このほか、(1)租税回避を行っていない企業も過大な報告を求められコストが増える(2)国によっては企業情報流出の恐れがある――といった指摘が出ている。
他方、厳しい制裁を導入するとタックスヘイブンが国際的な枠組みから離脱する恐れを指摘する声もある。国・地域によっては、個人情報保護の面から情報提供を渋ることも考えられる。
具体化までには、なお曲折がありそうだ。