「セレ女」の視線を集めるエース
柿谷はユース(高校生世代)の頃から「天才」と称されてきた。香川真司、清武弘嗣ら、セレッソで長く時間をともにしてきたチームメイトをはじめ、日本代表デビューすると、プレーぶりを見て各メディアも柿谷を「ジーニアス(天才)」と伝えた。
その名が全国区になった象徴的な試合は、2013年9月の国際Aマッチ、日本対グアテマラ戦。代表チームは十数年間に渡り、決定力不足が指摘されており、当時のザッケローニ監督もFW人材不足に頭を悩ませていた。そんな中、柿谷が1トップで出場したこの試合後、チームの中心的MF本田圭佑が「(柿谷は)非常にボールが収まる。ようやくこういうタイプの1トップが出てきたかという気がする」と最大限の評価をし、一躍脚光を浴びた。
2013年はセレッソにとっても人気の面で転換点となった。前年12年のロンドン五輪に山口蛍、扇原貴宏、杉本健勇らセレッソの選手が多数選出。この機をとらえてクラブは若年層や女性ファンの新規獲得を狙い、若い選手のビジュアルを押し出すPRを展開した。セレッソ旋風が起き、女性サポーターは「セレ女」と呼ばれるようになった。
そして、その急先鋒だったのが柿谷。ロンドン五輪にこそ出られなかったが、チームのエースとしてJリーグでゴールを量産。リーグ戦21ゴールをあげて得点王を争い、Jリーグベストイレブンにも選出された。また、この2013年からセレッソのエースナンバー「8」を背負い、名実ともにチームの顔となった。当然、セレ女の目も一番目立つ柿谷に向けられるようになる。こうして全国から女性ファンを獲得していった。
サッカー専門ニュースサイト「フットボール・チャンネル」の13年12月17日付記事では、スタジアム観戦に来ていたセレ女にインタビューし、柿谷の人気を探っている。そこでは、顔よりもまず「自然な感じ」「普通に大阪にいそう」「私でも手が届きそう」といった雰囲気の部分で好きになった女性が少なくなく、徐々に「かっこいい」と思うようになっている。
すると、時間をかけて柿谷の魅力に気づいたセレ女ほどの思い入れがない層(特に男性)にとっては、柿谷を「イケメンではない」と見ても無理はない。「Jマジ!イケメンJリーガー選手権」でも、投票の大部分が女性票だったといい、間近で見続けてきた熱烈なセレ女たちが、「3位」という結果を強力に後押ししたのかもしれない。