アナログレコードが若者にも人気 ネット時代の新しい「ハマるツボ」

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   アナログレコードの人気が再燃している。かつてレコードに親しんできた50代以上の中高年者が青春時代を懐かしんだり、若者世代がアナログならではの音の広がりなどを自分たちなりに楽しんだりしているためのようだ。アナログ人気は、カメラなど他の製品にも波及しつつある。

   家電業界でこの春、ちょっとした「事件」が話題になった。パナソニックが国内で高級レコードプレーヤーの予約受け付けを始めたところ、用意した300台が僅か30分で完売してしまったのだ。この製品は、高級オーディオブランド「テクニクス」名義の「ダイレクトドライブターンテーブルシステム・SL-1200GAE」で、価格は35万円もする。インターネットの音楽配信サービスが急速に普及する中、2010年に生産を停止していたものだ。その復活は、忘れられかけていた需要を業界に知らしめた。

  • アナログ製品の人気が再燃している(画像はイメージ)
    アナログ製品の人気が再燃している(画像はイメージ)
  • アナログ製品の人気が再燃している(画像はイメージ)

レコードならではの「所有感」

   他方、プレーヤーには欠かせない、交換用のレコード針の需要も急増している。レコード針のメーカーは現在、国内で数社しか残っていないとされるが、このうち日本精機宝石工業(兵庫県新温泉町)は、2015年の生産量が前年比65%増にも急増し、従業員をフル稼働して対応しているという。

   音楽は今や、スマートフォンなどからネット経由で手軽にダウンロードして聴くのが一般的だ。わざわざレコードを買い、プレーヤーで楽しもうとするのはなぜだろう。音楽機器業界の関係者は、中高年層のノスタルジーだけでなく、「スマホの普及などで、音楽を身近に楽しむ人が増える中、温かさや音の深さなど、デジタルとはひと味違う良さを再認識する人が増えてきたのではないか」と見る。ネット経由の音楽の広がりが、レコードを駆逐するのではなく、その価値を改めて見いだすきっかけを作ったというわけだ。

   若者独特の傾向を指摘する声もある。別の関係者は、レコードならではの「所有感」のようなものが若者に受け入れられているのではないか、と分析する。「デジタルは簡単にコピーされてしまうが、レコードは自分だけの存在、自分だけで所有しているモノ、という感覚が持てる。自分は他の人とは違う、という独自性や満足感みたいなものが味わえる部分もあるのではないか」というわけだ。

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