日本でのサービス開始にも期待が高まっている、スマートフォン用無料ゲーム「Pokemon(ポケモン)GO」。先行して発売されたアメリカなどでは、珍現象や迷惑行為が相次いで報告されている。
ゲームは、スマホの位置情報を利用し、実際に地図上の場所へ移動することで、ポケモンを見つけたり、他のプレーヤーと出会ったりする。この「移動」に伴って、さまざまな現象が起きている。
プレー中に「指名手配の容疑者発見」
アメリカなどでは2016年7月6日(現地時間)、サービスが始まった。すぐに爆発的な広がりをみせ、「ツイッターに匹敵するほどの人気」といった分析を示す英国調査会社もあった。
プレーヤーは、スマホ画面で位置情報を確認しながら歩く。いわゆる「歩きスマホ」で、前方不注意になることがあるようだ。ロイターの7月13日記事などによると、米メリーランド州カレッジパークで、プレー中の大学生が武装した強盗に襲われたり、テキサス州では、ポケモンキャラ探しのため違法駐車していた車両に別の車が突っ込んだりした。運転中にプレーをして木に激突する事故も起きた。
一方で、カリフォルニア州ではゲーム中のプレーヤーらが、公園で子供たちを触るなどの嫌がらせをしていた男を見つけ、行為をやめさせた上で警察に通報。警察が調べたところ、殺人未遂の疑いなどで指名手配されていた容疑者だったことが分かった。結果的に犯人逮捕につながる「お手柄」となった。また、ワイオミング州では、川の近くを歩いていた女性が死体を発見した例も報告されている。
ポケモンを捕まえることができる場所は様々で、中には戦没者慰霊施設として有名な、アーリントン国立墓地(ワシントンD.C.)をうろつく人たちもいる。同墓地管理者のツイッターは7月13日、敷地内でのポケモンGOのプレーについて、「この場所にふさわしい作法ではない」「(プレーは)慎むよう要請します」などと注意を促した。やはり慰霊の性格をもつ、ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺の資料を展示するホロコースト博物館(ワシントン)も声明を出し、施設内のプレーについて「極めて不適切」と指摘した。
「メートル法」が一気に広がる
意外な影響としては、ヤード・ポンド法を使っているアメリカ人が、ゲームに出てくる距離単位「キロメートル」についてネットで調べ、メートル法が少し身近になっている。1ヤードは約0.914メートル。今回のポケモンGOの浸透に伴い、米国でも「メートル」が一気に市民権を獲得した観すらあるようだ。
また、プロレス団体WWEの動画では、試合後インタビュー中のレスラー2人のうち、1人がポケモンGOに熱中したままで、相方とインタビュアーそっちのけで、スマホ片手に別の場所へ移動してしまう。その後、ポケモンGOの説明を受けた相方もプレーを始め、インタビュアーを置いて行ってしまう、という展開だ。もっとも、こうした「展開」には、視聴者によっては「話が出来すぎだ」と、「台本の存在」を感じる人もいるようだ。
いずれにせよ、日本で公開されれば同様の騒動が起きる可能性がある。「歩きスマホ」をする人が急増しても驚かないように、心の準備をしておく必要があるかもしれない。
任天堂などは7月15日夕現在、日本での配信開始時期について明らかにしていない。