素手でヒマワリの種を与えるのはアブナイ
食物アレルギーは、通常は特定の食物を食べた場合に体内にアレルギー抗体が作られて発症するが、最近は、皮膚を通して発症するケースが問題になっている。2005~2010年には「茶のしずく石けん事件」が世間をにぎわせた。「茶のしずく石けん」は、全国でのべ467万人に発売された大人気の美容石けんだった。ところが、小麦由来の成分が入っていたため、肌からその成分が吸収されてアレルギー抗体をつくり、小麦の食物アレルギーを誘発する人が続出した。肌荒れやじんましんなどの発作を起こした被害者は千数百人に達し、重傷者が66人も出た。厚生労働省が指導に乗り出し、2011年に製品の自主回収に追い込まれた。
もともと皮膚はアレルギーに対するバリアを持っているが、石けんで肌をこすったり、動物の歯で傷を作ったりすると、皮膚のバリアが壊れ、アレルギー物質が体内に侵入して抗体を作ることがある。Aさんの場合も、ハムスターのかみ傷からヒマワリの種の成分が入ったとみられる。
永井講師は報告の中で、「ヒマワリの種の食物アレルギーには、ペットのエサとしてヒマワリの種と接触するケースがよくあります。アナフィラシーショックのような重篤なケースになる心配もありますから、直接手から与えないように注意しましょう」と呼びかけた。