可愛いハムスターにエサのヒマワリの種を与える......。この何でもないペットとの触れ合いの行為が、海外旅行中に突然、食物アレルギーのショックを引き起こす原因になるとは...。
2016年6月17~19日に東京国際フォーラムで開かれた日本アレルギー学会学術大会で、藤田保健衛生大学皮膚科学の永井晶代講師が、皮膚を通して発症する食物アレルギーの恐ろしさを示す事例を紹介した。
韓国の名物お菓子「ホットク」を食べた途端に...
永井講師が紹介したのは20代女性Aさんのケース。韓国旅行中に地元の名物スイーツである「ヨモギホットク」を食べた直後、唇とのどがかゆくなり、顔がみるみる腫れあがって全身にじんましんが出た。現地の病院で点滴治療を受け、帰国後に藤田衛生大学病院を受診した。
ホットクは韓国の伝統的なお菓子の1つで、小麦粉や米粉の生地に餡(あん)となる黒砂糖や蜂蜜、シナモンなどを饅頭のように包んで揚げたもの。日本のおやきに似ており、ヒマワリやカボチャの種、ピーナッツなどを入れたものがよく食べられる。
Aさんは、アトピー性皮膚炎や花粉症をもっており、5年前にヒマワリの種が入ったチョコレートを食べた時にものどが腫れた経験があった。診察でアレルギーの皮膚テストを行なうと、ヒマワリの種に陽性反応を示したが、ヨモギ製品を食べても症状はなかった。韓国で食べたホットクの現物がなかったので確認はできなかったが、ヒマワリの種による急性の食物アレルギーと推察された。
ところで、なぜAさんはヒマワリの種の食物アレルギーになったのか。Aさんは過去10年以上にわたりハムスターを飼っており、ヒマワリの種を素手で与えていた。その際、ハムスターに指をかまれることがあったという。永井講師は「ヒマワリの種の食物アレルギーは、傷がついた皮膚を通して発症した可能性があります」と説明した。