議員然としたファッションが「礼儀」
とはいえ、土井さんの党首就任から30年――。そろそろメイ氏のようなファッショナブルな女性政治家が日本で増えてもよさそうなものだが...。
世界に目を広げてみると、ファッションが評価されているのは何もメイ氏に限らない。たとえば、シーンに応じて雰囲気を変える米国のヒラリー・クリントン前国務長官の洗練された着こなしや、イタリア初の女性ローマ市長となったビルジニア・ロッジ氏のTシャツ&デニム姿には好意的な声が送られている。
なぜ、こうも違うのだろうか。しぎはら氏に質問すると、「これはまさに文化の違いなのです。欧米と日本ではファッションへの向き合い方が根本的に異なり、それが女性政治家のファッションにも関係している」と指摘する。
「欧米では『ファッション=スタイル(在り方)』という概念が衣服の歴史と共に育まれてきました。同時に、場所と目的に応じて服を変えることがマナー教育として浸透しています。ですから『ファッションは内面をみせる自己表現』として認識されてきました」
「一方、日本は『衣に魂を込める』という文化を持ちます。花鳥風月を衣に映し、美しく身にまとうことで所作を整え、『身にまとう服=今日会う相手への礼節』という文化を育んできました。そして日本人には『和をもって尊しとなす』という考えが根底にあります。ですから衣服においても『特別目立つことは場を乱す』と捉えるのです」
つまり日本の場合、女性政治家においては「誰が見ても議員らしい服を着てきました」ということが相手への礼儀になるのだという。