日本の女性議員にとってスーツは「戦闘服」
いずれも世の女性たちが憧れるようなファッションでは到底なく、かといって、親しみやすさもさほど感じられない。一昔前ならまだしも、日本の女性政治家たちはなぜ派手なスーツを着続けているのか――。
「日本の女性議員にとってのスーツは、周囲に自分の存在感を植え付け、キャラをアピールするための『戦闘服』の役割を果たしてきているからです」
こう話すのはファッションプロデューサーで服飾専門家のしぎはらひろ子氏だ。
「1986年に日本憲政史上初の女性党首として就任された故土井たか子さんは、当時から華やかなスーツ姿でした。以降、女性議員が一気に増えたものの、全体としてはまだ少なかった。そこで彼女たちは国会中継でどこにいるかわかるように意図的に華やかな色をまとい、女性ならではの存在感を示そうとしました」
確かに国会中継を見ていても、女性議員たちの鮮やかなスーツはやたらと目を引く。では、肩パッドが目立つのはなぜなのか。
「土井さんの時代は肩パッドの大きいデザインが主流だったということもありますが、それだけでなく、一本筋の通った強い志をアピールするものでもあります。なで肩だと頼りなく見えますからね」
しぎはら氏によれば、こうした流れは、先輩議員の勧めや議員仲間との情報共有により現在まで脈々と受け継がれ、「色がきれいで、縫製がきちっとしたスーツ」が議員の「制服」として定着したのだという。ただ、今ではこうしたスーツを取り扱う店がほとんどないため、その多くが銀座の同じ店で購入しているそうだ。