フランス南東部の都市ニースで2016年7月14日22時30分(日本時間15日5時30分)ごろ、革命記念日の祭りでにぎわう見物客の中にトラックが突っ込み、少なくとも80人が死亡、100人以上が負傷した。検察当局はテロ事件とみて捜査を始めている。日本人の死傷者は、日本時間15日12時の時点で確認されていない。
フランスでは15年11月にパリで同時多発テロが起き、130人以上の死者が出たばかりで、当局は非常事態宣言を発して警戒を続けていた。1年足らずで再びテロ事件が起きたことで、日本のSNS上でも憶測と動揺が広がっている。
大型トラックが2キロ暴走し、運転手は射殺
7月14日は1789年のバスティーユ牢獄襲撃によるフランス革命勃発の日で、同国では革命記念日として毎年祭りが開催される。2016年も大勢の人が集まっていた。日本でも「パリ祭」として知られており、毎年、日本からも多くの観光客がニースを訪れる。
現地メディアによると、2キロに渡って大型トラックが見物客の中を暴走。多くの死傷者を出した。仏インターネット報道チャンネル「France 24」が公開した事件発生当時の現場の映像には、数百人ほどとみられる客らが走って逃げ惑う様子が映された。中には、乳児を抱えたり、ベビーカーを押したりする人もいた。
警察はトラックの運転手と銃撃戦になり、運転手を射殺。現地メディアが掲載したトラックの写真を見ると、車体前面がひしゃげ、窓ガラスには数十の銃痕が確認できる。また、トラックの中から複数の銃や手りゅう弾が発見されたと報じられている。日本時間の15日13時現在、犯行声明などは出ていない。
フランスでは7月10日まで、4年に一度のサッカー欧州選手権「EURO(ユーロ)2016」が開催されており、非常事態宣言を発して以降、同国では最大の山場だとみられていた。そのユーロを無事に終えた直後の事件とあって、「警備が若干緩んだ状況を突かれたのではないか」という見方も出ている。また、同国では7月24日まで、自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」も開催されている。