蒸し暑くて汗をかきやすい夏は、一年で最も体臭が気になる季節だ。とりわけ独特のニオイがきついのがワキガ。電車の中で吊り輪をつかみながら、周囲に迷惑をかけてはいないか心配になる人が多いのでは。
そんなアナタにワキガを自己診断でチェックできるいい方法がある。耳垢(みみあか)が湿っているか乾いているか、耳掃除をして調べてみよう。
白人は90%、黒人は99%が耳垢が湿っている。日本人は?
ワキガで悩む人のブログには、こんな内容もある。
「僕の彼女が強度のワキガです。本人は気づいていないので、何も言わずに我慢していますが、彼女のニオイに慣れることができません。共通の女友だちに相談すると、みんな迷惑しているそうです。彼女は天真爛漫で、とてもいい性格ですが、ワキガで損をしています。どう伝えればいいか困っています」
このように、本人も気がつきにくいのがワキガの特徴だ。しかし、『気になる口臭・体臭・加齢臭』などの著書があり、体臭治療が専門の五味クリニック院長・五味常明医師のウェブサイト「五味クリニック わきが相談室」をみると、耳垢で簡単にセルフチェックできるという。
耳垢が湿って軟らかくペースト状のいわゆる「濡れ耳」の人はワキガが強く、逆にカサカサに乾いている人はワキガ体質ではない。耳垢が湿っているほどニオイが強い。耳垢が湿っているからといって100%ワキガ体質とはいえないが、ほぼ90%の確率でワキガと判定できるという。
なぜ、耳垢とワキガが関係あるのか。体中にある多くの汗腺は「エクリン腺」と呼ばれるが、そこから出る汗そのものはサラリとして無臭だ。しかし、腋の下には「アポクリン腺」という汗腺があり、脂質やタンパク質の濃度が高いネバネバとした汗を出す。これらの分泌物を細菌が分解するとアンモニアになり悪臭を放つ。これがワキガの原因となるのだ。
アポクリン腺の密度は人によって違うが、腋の下を触ると、皮膚の下にイクラの粒のようにはっきりしたブツブツがあり、確認できる。密度が濃い人ほどワキガが強い。一方、耳の穴の中には普通の汗腺の「エクリン腺」は存在しない。それでも耳垢が湿る人は、腋の下と同じ「アポクリン腺」が耳の中にあり、汗を分泌させているのだ。脇の下のアポクリン腺が濃い人は、耳の中にもアポクリン腺が濃い密度である人が多く、両者の関連は非常に強い。だから、耳垢の湿り具合でワキガの強さがほぼわかるというわけだ。
別の体臭治療の専門医のサイトによると、耳垢の湿り具合は人種によって異なるそうだ。白人は90%以上、黒人は99%以上、ミクロネシア人は60%以上が湿性耳垢といわれる。一方、アジア人には湿性耳垢は少なく、中国人や韓国人は4~7%、モンゴル人はなんと0.0%、日本人は10%~20%前後しかいない。つまり、欧米人はワキガ体質の人が多いため、あまり気にしないが、日本人はワキガ体質の人が少ないため、逆にニオイのある人は気にすることになる。