甲子園のヒーローだった日本ハムの斎藤佑樹にスキャンダルが飛び出した。出版社社長から金品の世話になっていたというもので、久々に話題の主になったようである。
「日本ハム斎藤祐が球界追放の危機」
こんな見出しのついたメールが届いたのは2016年7月13日。ガセネタか、と思い、すぐ削除したのだが、騒ぎは現実のものだった。
14日の朝刊に週刊文春の社告がでっかく出たのである。
「斎藤佑樹 汚れたハンカチ」
週刊文春が「ポルシェ800万円」などと報じる
ファンの期待を裏切る「王子の私生活」と書かれ、さらに内容がこう列記されていた。
「ポルシェ800万円」「高級マンション」おねだり
「出版社社長の『利益供与』に父は『舛添さん』になってしまう」
週刊誌発売日に同じメールが何度も送られてきた。話は本当だったわけだ。
週刊文春といえば、舛添要一・前都知事(金銭疑惑)や清原和博・元プロ野球選手(覚醒剤)らのスキャンダルをいち早く取り上げるなど、スクープ連発の週刊誌として注目されているだけに、インパクトは強い。
出版社は、野球専門誌で知られるベースボール・マガジン社である。社長が早実、早大で斎藤の大先輩にあたる。先輩が後輩の面倒をみていたという構図なのだが、ことはそんな単純なものではないらしい。
報道機関が取材対象者に利益供与をしているという構図で、倫理面はもちろんのこと、斎藤がペナルティを受ける可能性がある。
斎藤はドラフト1位で日本ハムに入団したものの、成績は高校、大学時代の活躍とはほど遠い低さである。甲子園のライバルとされた田中将大は今や大リーグきっての名門ヤンキースのエース格。今回の出来事を思うと、歩む道の違いに驚くばかりである。
過去に巨人・桑田処分の例
週刊文春が(首都圏などで)発売される前日の13日、斎藤はオリックス戦に先発し、5回無失点の好投を見せた。勝利投手にはなれなかったものの、最近にはない良い内容だった。14日付け新聞には、斎藤の好投と週刊文春の社告が同時に載っているのだから、なんとも皮肉だった。
「週刊文春に取り上げられるくらいなのだから、斎藤佑樹はまだ捨てたものではないという証なのかもしれない」
プロ野球記者はそう語る。
早実時代、夏の甲子園大会で優勝。ハンカチ王子と人気沸騰したことはまだ記憶に新しい。そのときから比べると、今回のスキャンダルは大人になった証ともいえる。
プロ野球はこのところ、スキャンダル続きで、つい先日も元巨人投手による野球トバクの裁判が報じられたばかり。日本ハムの対応が気になるところである。
記事の中で、かつて巨人の桑田真澄投手が金品授受で巨人から「選手登録禁止1か月、罰金1000万円」の処分を受けた、とある。かなり厳しい処分内容といえ、当時騒がれたものだった。桑田も斎藤も甲子園の優勝投手。それがプロに入って「おねだりヒーロー」とは。いま高校野球の季節である。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)