「退位」報道のタイミング なぜこの時期?意図は?

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   天皇陛下が「生前退位」の意向を宮内庁関係者に示したとする報道は、あまりにも唐突だった。

   報道各社は「宮内庁関係者」や「政府関係者」の話として「天皇陛下の意向」を伝えたが、「なぜこのタイミングなのか」などと、その意図をいぶかる向きもある。

  • 各社は「生前退位」の意向を「宮内庁関係者」の話として報じている
    各社は「生前退位」の意向を「宮内庁関係者」の話として報じている
  • 各社は「生前退位」の意向を「宮内庁関係者」の話として報じている

皇室典範改正すると「内閣がいつでも天皇を退位させられる法的権限を持つ」

   「生前退位」の第1報は2016年7月13日18時59分、NHKがニュース速報のテロップを入れて「宮内庁関係者」の話として報じた。直後に始まった「ニュース7」には、見出しに「独自」の文字を入れてトップ項目として報じ、宮内庁担当のキャップが背景を解説した。この時間であれば報道各社は十分に「追いかける」ことが可能で、7月14日付の朝刊では、各紙がトップ項目で「生前退位」の意向を報じた。情報源について、毎日新聞と東京新聞は「政府関係者」とし、朝日・読売は「宮内庁関係者」とした。

   作家の竹田恒泰氏は、7月13日夜放送の「AbemaTV(アベマティーヴィー)」の番組に出演し、

「こういう政治的な発言を陛下のご意向でもって発表するなんてこと自体が、重大な憲法違反の可能性がある」

と指摘。天皇陛下を政治利用して皇室典範改正を進めようとする動きを警戒しての発言だとみられる。ツイッターには

「譲位を制度にしてはいけない。なぜなら、天皇の退位を決定するのは内閣であり、内閣がいつでも天皇を退位させられる法的権限を持つことになるから。したがって、一代限りの特別措置として特措法で対応すべき」

と書き、皇室典範を改正すると内閣が天皇を退位させる権限を持つことになると指摘している。

   皇室典範をめぐっては、2005年に小泉純一郎首相(当時)の私的諮問機関が、女性・女系皇族にも皇位継承権を認めるべきだとする報告書をまとめたが、具体的に改正に向けた動きは進んでいない。菅義偉官房長官は16年7月14日の記者会見で

「政府では皇族の減少にどのように対応していくかということで、杉田副長官のもとに、そうした内閣官房皇室典範改正準備室、こういうものを中心に検討を行ってはいる」

と明かしたが、退位制度新設の検討は否定している。

   改正に向けた動きが滞っていることにしびれを切らした「宮内庁関係者」がメディアをたきつけた、という見方も出ている。

   それ以外にも、信ぴょう性はまったく不明だが、ネット上などでは(1)都知事選の話題からそらす狙いがある(2)高齢で2020年の東京五輪・オリンピックにお出ましになるのは難しいので、早めの退位が望ましいと考えた人がいる、といった憶測や推測が飛び交っている。ほかにも、憲法改正の必要性を訴える議論を喚起する目的だ、という見方や、逆に、困難な道筋が予想される皇室典範の改正を表に出すことで、憲法改正を阻止する狙いがあるとの指摘も出ている。

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