「天皇の生前退位報道」に日本中が騒然とした2016年7月13日の夜。驚き、安心、さまざまな感情が渦巻く中、最も憂鬱な気持ちになったのはシステムエンジニア(SE)かもしれない。
昭和から平成への改元時はパソコンも一般に普及しておらず、システム上で膨大なデータを構築、管理する習慣はなかった。しかし、社会のすみずみにシステムが入り込んだ現代で、それは通用しない。仮に改元となった場合、速やかな対応を迫られるであろうSEはネット上に「色々とプログラム絡みの事の方で頭いっぱい」「年号変更に怯える」といった不安の声を寄せている。
「プログラム」のことで頭がいっぱい
SEたちの「悲鳴」は、NHKで「生前退位」が報じられた直後から寄せられた。ツイッター上は
「年号変更に怯える」
「SEやプログラマーの仕事増えそう」
「色々とプログラム絡みの事の方で頭いっぱい」
「とてもじゃないけど改修間に合わない」
と阿鼻叫喚の様子だ。「1、2年前ぐらいから告知して頂きたい」といった要望も出た。
現行の皇室典範は生前退位での皇位継承を定めていない。元号法は「元号は皇位継承があった場合に限り改める」と定めており、生前退位で改元するにはさまざまな制度改正が必要だ。とはいえ、宮内庁の山本信一郎次長は16年7月13日、報道陣に対し「生前退位報道」について、「そうした事実は一切ない」と否定している。先行きは依然、不透明な状況だ。
一般的に和暦が明記されている日本の書類。役所に提出する帳票などには、最初から元号が記入されている場合も少なくない。仮に改元が決まった場合、企業や自治体、その他公的機関は書類のデータ、管理システムを修正する必要が出てきそうだが、果たして。