高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「まさにコメンテーター状態」 都知事選の鳥越会見をみた感想

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   今日(2016年7月14日)告示の都知事選は、究極の後出しじゃんけんがあった。最後に名乗りを上げたのが、鳥越俊太郎氏だ。なんと、先に名乗り出ていた宇都宮健児氏は辞退せざるをえなくなって、鳥越氏が名実ともに、民進党や共産党の野党4党の統一候補になった。

   一方、自民党と公明党は増田寛也氏を推薦しており、主要候補の中では一番早く名乗り出た小池百合子氏と分裂選挙となった。国政での与党の分裂、野党の共闘となって、都知事選は野党にとって、参院選での与党勝利への逆襲の場として「江戸の敵を長崎で」という状況だ。

  • 「ガン検診100%」を目指している鳥越氏(16年7月撮影)
    「ガン検診100%」を目指している鳥越氏(16年7月撮影)
  • 「ガン検診100%」を目指している鳥越氏(16年7月撮影)

鳥越氏が有利な点

   参院選が終わったばかりなので、組織選挙はかなり不利だ。選挙運動は、基本的にマンパワーを要する肉体労働であるが、参院選でもうヘトヘトになっており、猛暑に入っていることもあり、従来の組織力はあまり機能しないだろう。もっとも、野党の組織力は相対的に強く、なんとしても一矢を報いたいので、野党統一候補の鳥越氏は有利になるだろう。

   ただ、カギを握るのは圧倒的な浮動層である。この意味で、これまでの都知事選では知名度の高い人が後出しじゃんけんをして勝ってきた。ここでも、鳥越氏の相対的に優位だろう。

   問題は、後出しじゃんけん過ぎて、公約などが準備不足である事だ。会見をしても具体的な話が出てこず、まさにテレビのコメンテーター状態である。

   テレビ関係者は鳥越氏が先輩であるので、厳しい質問もせずに、温かく見守っている状況に筆者には見えた。さすがに、他候補もいる共同記者会見で「ガン検診100%」を公約として掲げたのには、「あれっ」と思った。「日本は30%ぐらいしかない。東京都もそういう低いレベルです」というが、東京都の検診率は40%程度である。都福祉保健局のサイトをみると、胃がんなど5種類のがんについて、いずれも40%前後となっている。ガン検診を目標に掲げるのなら、東京都の実情くらいはしっかり頭に入れておくべきだろう。鳥越氏は数字が苦手なのだろうが、それで大丈夫なのか。

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